2001年 イラン、フランス


2001年9月11日に発生した前代未聞のテロ事件。

この首謀者とされる人物を匿うタリバン政権の最高指導者オマル師の拠点こそアフガニスタンの“カンダハール”である。内戦を逃れてカナダへ移住したアフガニスタン人女性ジャーナリスト。ある日、彼女は母国アフガニスタンに残してきた妹からの手紙を受け取る。

そこには、この困難な状況に耐えかねた妹の悲痛な叫びが記されていて、彼女の自殺を仄めかす文章がしたためられていた。

姉はなんとしてでも妹を助け出したい一心で、カンダハール目指して決死の覚悟でアフガニスタン潜入を図る……。 allcinemaより


カンダハールはアフガニスタン第2の都市。

今回の舞台は、ソ連撤退後タリバン支配下のアフガニスタンです。


監督はモフセン・マフマルバフで、私は初見ですが、

最近では「独裁者と小さな孫」という作品が公開されていました。

イランでは今年の7月に亡くなられたA・キアロスタミ監督と並ぶ名監督で、

社会派の作品を多く撮られているようです。カチンコ


主人公のナファスという女性はカナダに住むアフガニスタン人。

自殺をほのめかしている妹を助けに、危険な故郷に戻ろうとします。

この映画はナファスの危険なロードムービーです。ガーン


作品の中でも2つの大きなテーマになっているのが、

女性たちが被るブルカと、あちこちに埋められている地雷


ブルカは中の顔が読み取れない。

それは良かれ悪かれで、宗教上のものだから、

部外者が否定するものでは無いでしょう。

ただ、強制には問題がありそうです。

(それも異教徒が云々言う問題では無いでしょうが…)


一方、地雷。

私はこれまで土に埋まっているものだと思っていましたが、

女の子の好きな可愛い人形の中にも仕組まれているとは驚きました。

何の罪もない子供たちを殺害するなんて、これは宗教以外の問題。


映画はドキュメンタリータッチで進みます。

ナファスは道中色々な人たちと出会い別れます。

子供、医者、嘘つきの男性。

彼らはその日暮らしで明日の命さえ分かりません。


冒頭ヘリから、パラシュートでマネキンの下半身が次々落とされる場面がありましたが、

これは義足だったのですね。

赤十字のキャンプの場面で初めて知りました。


タリバン下、女性は社会に出て生活出来ない状態。

地雷だらけで足を失った人が大勢いるアフガニスタン。


この作品は2001年の春に公開されているので、

撮影はもっと前でしょう。カチンコ

そして、この年の秋に同時多発テロが起こり、

報復もありアフガニスタンの状況も変わったはず。


2007年公開の「君のためなら千回でも」という映画があります。

子供の時、ソ連侵攻後アメリカに亡命した男性が大人になり、

同じくタリバン政権下のアフガニスタンに向かう話。

また、私は未見ですが「アフガン零年」という作品もタリバン政権下の話。


どれも舞台は同じころなのですが、

撮影が多発テロの前後離れていると思うので、

違う角度でも鑑賞できると思います。


もう一度「君のためなら~」を観たくなりました。ニコニコ