2012年 アメリカ
昨年度アカデミー賞主演男優賞受賞作品
エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が、大統領に再選された1865年。
アメリカを内戦状態に追い込んだ南北戦争は4年目に突入したが、
彼は奴隷制度を永遠に葬り去る合衆国憲法修正第13条を下院議会で批准させるまでは戦いを終わらせないという強い決意があった。
そのためにも、国務長官ウィリアム・スワード(デヴィッド・ストラザーン)らと共に憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出す。
そんな中、学生だった長男ロバート(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が北軍へと入隊し……。
シネマトゥデイより
この作品、長いし難しそうだし、今までスルーしていましたが、
今年アカデミー賞作品賞を受賞した「それでも夜は明ける」とリンクしているので鑑賞。
アメリカの奴隷制度を取り上げた2作品ですが、
「それでも~」は1841年から始まり、
奴隷となった主人公が南部で地獄のような生活をしていく話。
一方、この作品は南北戦争終盤のアメリカ北部。
白人政治家たちの憲法修正に関しての駆け引きの話。
政治モノは難しいし、憲法修正の票集めのカラクリもよく分かりませんでしたが、
初めて知ったこともあります。
それは、この時点で
南北戦争がもう少し早く終わっていたら、奴隷制度廃止の議決は否決されていた
ということ。
何故なら、北部でも奴隷を肯定する白人たちが多かったのです。
では、何故北部の白人たちが制度廃止に賛成するかと言うと、
ただ単に、戦争が早く終わって欲しかっただけ。
戦争が終わってしまえば、奴隷制度なんてどうでもよかったのです。
それを食い止めるためリンカーン大統領は工作に走るわけですね。
リンカーン役のダニエル氏だけでなく、
国務長官役のデヴィッド・ストラザーン、
共和党強硬派役のトミー・リー・ジョーンズたちも主役級で重厚な演技。
この強硬派スティーブンソンと民主党のウッド(眉の太い人)の下院での議論は面白かったです。
この議論と言うのは、
スティーブンソンは元々人種平等を唱えていた。
けれども今回の修正案は人種平等そのものでは無くて、
法の上での平等ということ。
ちょっとややこしいですが、議論を見ているとわかります。
また、リンカーンの家族の苦悩も描かれていました。
母親の気持ちもその通りだし、息子のあせりも分かる。
この時代はどこも同じでしょうが、
リンカーンの自宅の部屋も暗い。
窓からの陽だけが差し込み、リンカーンが影絵のように映っているのも印象的でした。
冒頭の黒人兵たちが言っていたセリフ。
きっと彼らが今のアメリカ大統領を知ったらビックリでしょう…
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