2012年 ドイツ


1960年、ナチス親衛隊でユダヤ人の強制収容所移送の責任者だったアドルフ・アイヒマンが、イスラエル諜報(ちょうほう)部に逮捕される。

ニューヨークで暮らすドイツ系ユダヤ人の著名な哲学者ハンナ(バルバラ・スコヴァ)は、彼の裁判の傍聴を希望。

だが、彼女が発表した傍聴記事は大きな波紋を呼び……。シネマトゥデイより


哲学は全然詳しく無いので、この映画で始めて彼女のことをしりました。

劇場もおばちゃんたちで一杯映画


この作品ではナチスの残党アイイマンが捕まったことで始まる裁判を元に、

彼女がニューヨークウォーカー誌に書いた論文の顛末。メモ


アイヒマンの裁判の場面は当時の映像。

彼は口元や眉毛をときおりピクピクさせ、

自分は命令に従っただけだと罪を認めません。


この裁判を傍聴したハンナは、彼には思考能力が無くただの従僕だったと考えています。

ただし、犯した罪に対しては死刑が妥当と言っていました。


では何故彼女がユダヤ人を含む民衆たちに非難され、

総スカン状態で大学まで追われるはめになったかと言うと、

当時のユダヤ人指導者たちを非難しているからでしょう。

彼らもナチの手先になっていて、

彼らが別の行動を取っていたら、助かっていた同胞がもっと多かったのではないか?と…


友人を見舞いイスラエルに一時帰国したときの話が印象に残りました。

友人が「ユダヤ人を愛していないのか?」と尋ねると、

ハンナは「民族を愛してはいない。友人を愛している」と答えます。

彼女は民族にとらわれず、自分の周りの個人個人を愛していたのです。


多くの友人知人を失っても彼女の意思は強く、

「悪の凡庸」は知る人ぞ知る思想になったわけです。


頭の固い大人には到底理解出来なくても、

これからを担う若者たちの若い脳みそには充分響いたのにホッとしました。


政治や哲学の話をポンポンと受け答えする人たち。

私には全く別世界。

彼女のような女性に突っ込まれたら固まってしまうでしょう。

何せ「長いものには巻かれろ」で生きていますから。

まさしくこれが戦争に置いては「悪の凡庸」になるのですね。


若い頃の恩師、マルティン・ハイデッガーとの逸話が少なかったですが、

彼女の人生全部を映画にしたら2時間では済まないはず…あせる


硬派な女性ですが、彼女のお腹とお尻周りには何故か愛着を感じましたニコニコ

もちろんハンナを演じたバルバラの演技はダントツです。


重厚な作品でした。