- 2011年 韓国
寒い冬の早朝、定年後に牛乳配達のアルバイトを始めたマンソク(イ・スンジェ)は、いつものようにオンボロバイクを走らせていた。
彼はリヤカーを引きながら古紙回収をしている年配の女性(ユン・ソジョン)と坂道で擦れ違い、ふとした偶然で転んだ彼女を助ける。
その日以来、マンソクは毎朝そわそわしながら彼女の姿を捜し始め……。
シネマトゥデイより
一言でいえば、老いらくの恋なのですが、
映画はこの2人のカップルだけでなく、
イップンの仕事関係の男性とその妻の話も大きく関わります。
また、彼らの家族、知人が外側からうまい具合に絡まってきます。
マンソクとイップンが出会った場面は、若者のラブストーリーと全く同じ。
出会いの坂道は工事の継ぎはぎだらけですが、味わいのある場所です。
DVDのパッケージも可愛いですね。
ただし、2人の職業は華やかなものではありません。
何故マンスクが朝早くから牛乳配達をしているかは、彼の死んだ妻と関係しています。
また、古紙回収のイップンには元々名前も住民登録も無かったこと。
彼女のこれまでの不幸せな人生がやりきれないです。
でもこの作品、コメディタッチなのです。
気が強く友人もいないマンソクが、振り返りざまに見せるニヤッとした顔が面白い。
顔にスイカの種(?)を付けている男も最高!
駐車場の借主の高慢でマヌケな男も面白いです。
また、マンソクの孫の名前がキム・ヨナ
お金に余裕のない2人が屋台でデートも微笑ましかったです。
一方、認知症の妻を愛してやまない老人グンボンは素敵な紳士。
人生長い方々はその分悲しいことも多く経験しています。
それにも負けず必死に生きている老人たちの姿に感心します。
イップン役の女優さんは美人では無いけどとても可愛い。
グンボンの奥さんの演技力は凄い!
マンソクの亡き妻は美しい。
「あなたを愛しています」なんて、歳をとるとなかなか言えない言葉。
でもこの2人にはそれが違和感なくすんなり受け入れられます。
イップンの誕生日のシーンもとても良かったわ~
一方、長く生きているということは、決断する時間も迫ってきます。
葬式の場面で弔問客の言った、
「年寄りが長生きすれば子供を苦しめる。早く死ねば子供孝行」という言葉は辛いです。
そんな言葉を聞かない社会が来ればいいですね(これは韓国の話ですが…)
マンソクのうるさいバイクの音も誰かの役に立っている。
そして、イップンの優しい心遣い。
そんな微笑ましい映像が最後の最後まで続きます。
こういう内容の映画は、邦画だったら絶対暗い。
観ているうちにどんどん落ち込みそう。
でもこの韓国作品は、老いを現実的に描いているものの、
とことん暗いわけではありません。
マンソクもイップンも幸せだったはず。
若いかたでも気軽に観られる作品だと思います。
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