1986年 熊井啓監督作品
太平洋戦争末期に実際に起こった米軍捕虜に対する生体解剖事件を描いた遠藤周作の同名小説を、社会派・熊井啓監督が映画化した問題作。
敗色も濃厚となった昭和20年5月。九州のF市にも毎晩のように米軍機による空襲が繰り返されていた。医学部の研究生、勝呂と戸田の二人は物資も薬品も揃わぬ状況下でなかば投げやりな毎日を送っていた。
そんなある日、二人は教授たちの許に呼び出された。
それは、B29の捕虜8名を使った生体解剖実験を手伝えというものだった……。(allcinema ONLINE)
遠藤周作の原作は未読です。
何度か挑戦しようとしたのですが、恐ろしくて読めませんでした。
活字は頭の中でどんどん想像が膨らんでしんどくなるので、
この作品に限っては、映画の方が押し付けられた画面のみで済むかな~と思って…
映画はモノクロです。
これも、もしカラーだったら私はパスでした。
2時間の作品の中で、前半の1時間は、
戦争末期の物のない時代の大学病院の様子。
1時間を過ぎたころから、米軍捕虜の生体解剖の話が始まります。
戦時中の人間の良心はマヒしていて、
倫理も通用しない。
それが医学方面にも及んだから恐ろしい実験に到ってしまったのです。
銃殺刑になるのも生きたまま手術の実験で殺されるのも同じ…
手術の場面はリアルで、
モノクロとは言え、メスを入れる皮膚の毛穴の感じもよく出ていました。
今や日本映画の重鎮になりつつある渡辺謙と奥田映二が若々しい。
しかも渡辺氏の髪はフサフサ(←そこかっ!)
戦争が引き起こす人間の狂気は、当時も現代も恐ろしいです。
最後に、生きているアメリカ兵の肺を取り除く手術を見て…
これは映画も原作も全く関係ない話なのですが、
脳死ドナーになるということは、こういう手術を受けることになるのね。
そんなことまで想像してしまいました。
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