2010年 イギリス
地質学者で現場で働くトム(ジム・ブロードベント)と、
心理カウンセラーの妻ジェリー(ルース・シーン)。
オフの日は市民農園で一緒に趣味の農作業をする仲良しの初老の夫婦。
一方妻の同僚メアリー(レスリー・マンヴィル)は独身で寂しい生活を送っていました。
ある日トムの兄ロニーの妻が亡くなり、一時期トムの家に身を寄せますが、
ロニーが一人で留守番をしている間、メアリーが突然やってきます。
マイク・リー監督の作品ということで、
同監督の「ヴェラ・ドレイク」のイメルダ・スタウントンが冒頭に患者役で顔を見せます。
鑑賞後に知ったのですが、この作品の原題は(ANOTHER YEAR)。
内容自体も「家族の庭」というより、
メアリーから見た「他人の庭」です。
もちろんトムとジェリー(アニメみたいね)の庭は素敵なんですよ~
ウナギの寝床のように、間口は狭いのですが、
奥が長くて裏に緑で囲まれた可愛い庭があるのです。
家の中の装飾も家庭的。
「見えない収納」では無くて「見せる収納」のほう。
食器も調味料も外に出ていましたが、きちんと片付いていて、
キッチンに張られたタイルも可愛かった。
生活感にあふれた台所です。
そして何よりも初老の夫婦仲が良い。
お腹周りを気にする妻に、
夫は「君のスタイルは完璧だ」なんて言ってくれる。
こんな男性、日本には少ないでしょうね。
健康だしお互い信じ合い価値観も一緒。
理想の夫婦なのです。
一方、老いを認めたくないメアリーは、
今の日本の言葉で言えば「イタイ女」です。
同年代の男性に告白されても、彼の中年体型を嫌がり見向きもせず、
な~んとジェリーの30歳の息子にその気になります。
確かに歳の差カップルはありでしょうが、
友人の息子よ~(もちろん相手にされない)
初老の者たちが集まる居心地のいい家。
でも、所詮は自分の家では無いのです。
メアリーはその辺の線引きが曖昧でした。
どんなに寂しくても、人の家や家族に土足で踏み込んではいけない。
家族と友人の線引きは必要なのですね。
それを再確認してくれる作品です。
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