1984年 西ドイツ、フランス
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品
テキサスの荒野を一人放浪する男トラヴィス（ハリー・ディーン・スタントン）。
記憶も定かではないこの男の弟ウォルト（ディーン・ストックウェル）はロスから彼を迎えに来ます。
ウォルトの自宅ではトラヴィスが4年前に置き去りにした息子ハンターが暮らしていました。
親子の距離が狭まった頃、トラヴィスはハンターと一緒に、
妻のジェーン（ナターシャ・キンスキー）を探す旅に出ます。
ロードムービーとは聞いていましたが、
前半は兄と弟の帰郷の旅。
後半は父親と息子の母親探しの旅。
2つの旅から成っている作品です。
当初、パリとテキサスが何のつながりがあるのだろうと思っていたら、
なるほどね～
似たような由来の地名は他にもありそう。
そういえば前回「バグダッドカフェ」を観ましたが、
あちらも荒野に佇むカフェが舞台で、空と大地の映像が素晴らしかったのですが、
この作品の色彩も、ロードムービーにはよく合っていたと思います。
弟の家へ帰るまでのトラヴィスはよれよれの中年男にしか見えませんでしたが、
ウォルトの白いスーツを着た彼は立派な紳士に見えました。
メイドさんとのやり取りは面白かったです。
クライマックスの、風俗店の部屋でマジックミラー越しに会話する2人。
2人の顔が重なる場面はトリックみたいで摩訶不思議でした。
でもトラヴィスの話を聞いてみると、
歳の差カップルというのは大変ね～と思ったわ。
最近日本の芸能界でも流行っているようですが、
若い妻には人一倍ヤキモチをやくのね。
この夫婦の修羅場は壮絶だったようです。
あれ？と思ったかたも多いでしょうが、
弟夫婦が愛情一杯かけて育てた愛息ハンターを、
彼らの承諾なしに実母のジェーンに引き渡すのはちょっとビックリ。
アン（弟の妻）の気持ちを考えるととてもつらいです。
結局、夫婦は修復不可能でも、
血の繋がった親子は違うのね。
育ての親より実の親か…
ライ・クーダーのポロロンポロロンのいうギターの音が、
旅してきた荒野と、トラヴィスの心の中のむなしさを表しているように思えました。
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