1989年 フランス
アパートでひとり暮らしをしているイールは、小柄で色白、髪の禿げ上がった中年男。
愛想も悪く、近所の住人からも嫌われていました。
彼は毎日、向かいのアパートの若い女性アリスを覗き見していました。
ある日、若い女性の殺人事件の容疑者の一人にイールが浮かび、刑事が訪ねてきます。
ついに覗き見もアリスにばれてしまいますが、
逆に彼女はイールに接近し始めます。
このDVDは確かドラマの棚から借りて来たのですが、
これはサスペンスだよね～
怖かったです。
何が怖かったって、覗き見している窓から浮き上がるイールの顔。
雷の日の場面は、ゾクっとしました。
今で言うストーカーと何の変わりも無いような…
でもアリスはあまりにも無用心。
女性の一人暮らしでしょ～
幾ら前の部屋が空室だと思ってもカーテンしようよ
邦題に「恋」とありますが、
イールは「恋をしている」のではなく、
「愛している」と直接彼女に言っています。
覗き見しているだけの女性を愛せるのですね。
でもイールは女性の心の奥深くを見抜けることは出来なかった。
近づいて来たアリスが、
自分のことを満更では無いと思っていると勘違いしたのでしょうか…
確かに女にとって世界で一番自分を愛してくれる男性と結ばれることは最高の幸せでしょうが、
誰だってこの覗き見男を愛せるとは到底思えない。
イールは「待つ」と言っていましたが、
婚約者を愛しているアリスがイールについて行くことは無いでしょうね。
殺人事件を楯にアリスを口説いたような感じでしたが、
女の方が何枚も上手。
やはり、覗き見だけでは恋愛は出来ないのです。
ルコント監督の映し出すこの中年男の悲哀物語は、とても切ないのです。
いい作品でした。
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