2009年 アメリカ
実業家の夫と子どもたちと暮らすセレブ妻のリー・アン(サンドラ・ブロック)は、
子どもたちと同じ学校にスポーツ推薦で転校してきたマイケル(クィントン・アーロン)と知り合います。
住む家を無くした彼を家まで連れて帰り、自分の家族たちと生活するうち、
優しい性格のマイケルの後見人になる決心をします。
アメフトの選手として才能を開花させたマイケルでしたが、
大学進学に関してスポーツの調査機関から呼び出されます。
サンドラ・ブロックがこの作品で今年のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞しました。
貧困の黒人少年がプロのフットボール選手になるまでの実話に基づいた話です。
リー・アンは高級ブランドを身に付け、
優しい夫、素直な子どもたちと恵まれた生活をしています。
だけど根っからの世話好きで肝っ玉母さん。
サンドラはこういう役が適役ですね。
一方、マイケル役のアーロンは身体は超ビッグサイズで、
高校生役ですが、顔は童顔。
前年の「僕らのミライへ逆回転」ではちょっと怖い印象があったのですが、
よく見ると可愛い顔をしているのよ。
リー・アンが母性本能をくすぐられるのも分かる気がします。
作品中にも出てきますが、
スラムなど悲惨な環境で育った子どもに凶暴になる子が多い、という先入観があるようです。
でも、マイケルは大人しくて平和主義でした。
ただ、防衛本能は非常に優れていて、
リー・アンたちの家族を守ることや、フットボールの守備に威力を発します。
ヒューマンドラマなのですが、マイケルの巨体のせいで笑いも満載でした。
彼の選んだ縞模様のラガーシャツを見て、リー・アンの息子が言った言葉も笑えました。
また、サンドラより上手?のキャシー・ベイツの豪腕家庭教師ぶりや、
学校の先生方の協力も微笑ましかったです。
リー・アンが言っていましたが、
幸せになったのはマイケルの周りの人々でもあったようで、
この作品の邦題は良かったと思います。
ところこの作品、数々のレビューを読んでいたら、
「金持ちの道楽話」として低い評価もありました。
確かにお金持ちが自己満足のため貧しい子どもを引き取って、
教育を受けさせ成功させ、世間から賞賛される。
でも、私にはこの映画のリー・アンにはそんなこと想像できなかったけどな~
例えばハリウッドスターが親の無い子どもを養子にするのは今や常識。
それを売名行為とはもう言えないのでは?
リー・アンの家族もそれと同じで、
目の前に可愛そうな少年がいたら自分たちの財力でその子を育てるのが偽善には見えなかったです。
また、一家が手元に引き取ったのはマイケルだけですが、
普段からボランティア活動に積極的だったのではと思います。
何故なら2人の子どもたちが、
家にやって来た得体の知れない巨体の黒人少年に何の差別意識も持たないのです。
ずっと両親の活動を見ながら育ってきたのではと思いました。
ただ、私も1箇所気になったところがありました。
それは、マイケルが身分証明が欲しくて運転免許証をとった時の話。
リー・アンは高級大型車を買い与えます。
それはやりすぎじゃない?と思いました。
よほどの僻地に住んでいない限り、車は自分で稼いでから買うものだと思います。
貧乏人のヒガミかしら~
エンドロールでは実際の家族の写真が映し出されます。
映画のマイケルも可愛かったけど、
本人のマイケルも愛嬌のある顔立ちでいかにも人の良さそうな青年でした。
理想的な家族像を見たという実感です。