2004年 ウルグアイ・アルゼンチン・スペイン・ドイツ
東京国際映画祭グランプリ受賞作品
ウルグアイの小さな靴下工場の経営者ハコボ。
亡き母の墓参りに、ブラジルから弟エルマンがやって来ることになりました。
彼は従業員の中年女性マルタに、弟のいる間夫婦の振りをして欲しいと頼みます。
マルタはハコボの家に泊り、3人は少しの間のバカンスを楽しみますが…
ウルグアイといえば、今年のワールドカップで準決勝まで勝ち進んだ国ですね。
南米の国民は皆明るくてサッカーが好きで…
という想像がどこへいったのやらの、
風変わりな作品でした。
実は製作国も知らずに見始めたため、最初は北欧か旧ソの作品だと思っていました。
それにしては言語が違うな~と。
これはスペイン語
何故北欧と思い込んだのかは、後で観たプロモーション映像で分かりました。
「南米のアキ・カウリスマキ作品」と言われたそうです。
ハコボとマルタが無表情なんです。
特にハコボに至っては最後まで仏頂面。
興味の無い話は、横を向いてしまって我関せず。
一方、マルタはエルマンに大しては笑顔を見せます。
ハコボが結婚している振りをしようとしたのは、
明らかに弟に対する見栄でしょう。
同年代のマルタに白羽の矢をたてたのでしょうが、
彼が彼女を恋愛対象に思っていたかは疑問です。
だって2人の時も彼は全く無関心だったもの…
いっぽう、エルマンは饒舌で明るい男性。
母親の葬儀に来なかったのは薄情ですが、悪い男には見えませんでした。
この陽気な男性に、マルタは目を輝かせます。
ところが、ハコボはエルマンは焼きもちを焼くのです。
態度や言葉に出しているわけではありませんが、
表情で見え見えです。
音楽も無く、淡々と進んで行くストーリーですが、
気の効くマルタが、ハコボの家の中をちょっぴり改造していくのにはくすっと笑えます。
ホテルの中の彼女の行動もやるね~
結末は観ている者がそれぞれ考えたらいいのでしょうが、
私はハコボは捨てられたと思います
だって、マルタは隣国のお客さんにあんなに興味津々だったもの。
エルマンは妻子持ちで、マルタと恋愛関係になるとは思えませんが、
ブラジル旅行に誘っていたし、
彼女は靴下工場の毎日同じ繰り返しの生活から、抜け出してみたいという願望があったのでは
本来の南米人の気質とは全く逆のハコボ。(サッカー観戦のときは別人物ですが)
マルタに対してもう少し優しさが態度に見られたら、
最後のあの結末とは違っていたかな。
と、私をマルタに置き換えたらの感想です
「ウィスキー」とは、写真を撮る時の「はい、チーズ」と同じ意味。
ハコボとマルタの2人のニセ夫婦写真よりも、
3人並んだ真ん中のマルタの笑顔が良かったです。