2004年 スペイン/フランス

ゴールデングローブ賞、アカデミー賞の外国語作品賞受賞作品です。クラッカー


ラモン(ハビエル・バルデム)は海の事故で四肢が不自由になり26年間寝たきりの生活。

彼は尊厳死を願い、支援してくれる団体から派遣された弁護士のフリア(ベレン・ルエダ)と知り合います。

しかし、彼女もまた不治の病に侵されていました。

裁判所は相変わらず尊厳死を認めようとしません。

そんな中、ラモンを慕う近所の女性が彼に協力を申し出ます。


実在した人物の出来事を映像化した作品です。


ラモンは賢く、独特な理論の持ち主。

神父とやり合っても、負けることが無い弁論家であり詩人でもあります。


「尊厳死」の容認は難しい問題です。

国によって認めているところもあるようですが、スペインはカトリックの国。

尊厳死は認められず、自ら死ぬことはあくまでも「自殺」なのです。


彼が裁判をしてまで戦っているのは、動くことができないため。

他の自殺志願者と違って、誰かの手を借りなければ死ねません。

協力者が自殺幇助の罪にならないように訴えていましたが、聞き入れてもらえませんでした。


私は、こんなに苦しんでいるラモンの希望通りにしてあげたいと思う気持はありましたが、

それは彼が他人だからかも知れません。


実際は、尊厳死にしろ自殺にしろ、

それを私自身が認められるか否かは、

自殺希望の人が自分と血が繋がっている者か

当人が肉体的に苦しんでいるか

で違ってくると思います。


自分の家族が尊厳死という名の自殺を希望したら、きっと反対するでしょう。

肉体的に苦しんでいるなら、楽にしてあげたいという気持はありますが、

精神的にだけ苦しんでいるのなら、適切な治療をしてもらい、

家族で支えて何とか死を考え直してもらいたい。

そう思うな~。


周りのみんながこんなに愛しているのに死を願うラモン。

「ボクが愛するのは死なせてくれる人」と豪語するラモン。


彼が家から旅立つ時、見送る家族の姿。

ここが一番悲しかったです。しょぼん

特に今まで介護をしてきた義姉の涙は澄んだ聖水のようでした。


ハビエルは特殊メイクで中年男を演じたそうですが、

髪型以外は違和感無かったですね~。

元々フケ顔なのかしら。


そして、彼を取り巻く4人の女性がそれぞれ素晴らしかったです。


果たして命は人のものなのか、神のものなのか…

もし、その人のものだったら、自分の好きなように扱っていいのか、

考えさせられる作品でした。


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