難しくはないけれど、考えさせられる作品です。
そもそも死刑制度のことを語り始めたら、
日記ではなく、論文みたいになっちゃいそうなので簡潔に。
相棒と一緒にカップルを襲い、女性をレイプの後、2人を惨殺した死刑囚マシュー。
相棒が無期懲役なのに、自分は死刑なので不公平だと言い張りますが、判決は覆らず、
カトリックの尼僧ヘレンが、執行までの6日間「精神アドバイザー」を引き受けます。
日本でも、あったような犯罪です。
成人だったら、やはり死刑判決かも知れませんね。
この作品は、マシューが死刑か無期かというものではなくて、
人間が人間を裁いて殺す「死刑」という制度を問いかけているのと、
執行日までのマシューと、付き添うヘレンの心の葛藤を描いてます。
やはり、殺された男女の親の話を聞くとやるせないです。
何故、全く罪の無い人を、いとも簡単に惨殺するのか。
殺されるまでの、カップルの恐怖は計り知れません。
殺された女性の母親の弟が歯科医で、
彼が死体の口の中から泥を取り出した時、今まで死刑反対支持だった彼が、この時賛成に変わったという件はうなずけます。
部外者でも、この被害者の家族の思いは伝わると思いますが、
この憎しみは完全に共有するのは難しいかも。
それほど、当事者にならないと分からないということです。
ヘレンは死刑に賛成でも反対でもありません。
ただ、マシューが死ぬ前に自分の罪を認め反省し、謝って欲しかった。
そうすることによって、神に許されるというのです。
仏教でも、「南無阿弥陀仏を唱えれば罪が許される」なんて宗派があったような。
でも、本来は地獄で閻魔大王とご対面ですよね。
先進国で死刑制度は少なくなっているようですが、
そう思うと日本では宗教的に無理かな。
ちょっと、政治的な臭いが無きにしも非ずも作品でした。
ちなみに、俳優さんたちは素晴らしいです。
それぞれ、実際の役の本人たちに見えましたから。