2011年6月14日 13時51分
降水量が少なく、貯水量が減っている時雨ダム=8日、東京都小笠原村父島で |
今月下旬に世界遺産に登録される見通しの東京都・小笠原諸島が、約三十年ぶりの渇水に見舞われている。
父島の五月の雨量は、例年の三分の一程度で、今月に入ってからはほとんど降雨がない。
小笠原村はプール開きの延期や定期船への給水停止などの対策に追われている。 (岡村淳司)
小笠原は沖縄と同じ亜熱帯で、本州の梅雨より一カ月ほど早く降雨シーズンを迎える。
気象庁によると、今年は日本の南から東の海上で太平洋高気圧が強かったため、小笠原周辺の降雨量が減った。
父島の五月の平均雨量は一四五・四ミリだが、今年は五五・五ミリしかなかった。
降雨シーズンはすでに終わり、当分晴天が続く見込みという。
住民約二千人の父島にはダムが四カ所あり、
合わせて九万三千七百トンの貯水能力がある。
しかし通常100%ある貯水量が63%(十三日現在)まで低下した。
これを受け、父島では例年六月上旬に行われる小中学校のプール開きを延期。
児童生徒は海で水泳の授業を受けている。
また、島と本州を結ぶ唯一の定期貨客船「おがさわら丸」への
水の補給も停止した。
同船は新鮮な水を利用するため、
父島と東京湾の港で必要量だけタンクに水を補給している。
これまで四日間停泊する父島でゆとりをもって給水できたが、
今は停泊時間が十八時間しかない東京湾で往復分の補給を余儀なくされている。
同村では一九八〇年に渇水があり、
集合住宅の夜間の給水を制限したことがある。
今回の水不足は当時に匹敵するペースで、少なくとも台風シーズンの
七月以降までは水不足が続きそうだ。
今のところ島民生活に深刻な影響は出ていないが、
村は広報紙などで節水を呼び掛けている。
村建設水道課の増山一清課長は
「台風が来れば一気に貯水量は回復するはずだ。
個人的には心配していないが、
現段階では島民に節水をお願いせざるを得ない」と話している。
(東京新聞)