今日は車のセッティングについてです。
先に言っておきますが、以下の説明が全て正しい保証はしません。
私自身は車のチューニングはGTシリーズでしかしたことがないので、特に実車におけるチューニングセオリーとか知らないからです。
長年GTシリーズで遊んできて、感覚的に覚えた方法、方向性なので、悪しからず。

で、セッティングに移る前に一度走らせてみましょう。
本来セッティングは、コースごとに変化しますので、目的のコースで走ります。
走りやすい、走りにくい、コーナーでうまく曲がれない、曲がりすぎる…。
いろんな癖が見えてきます。
それを自分のドライビングスタイルに合わせ、欠点を埋めていくことになります。


1.サスペンションセッティング
車のセッティングのメインは、このサスペンションの各パラメータを調整することです。
調整する項目は、車高、スプリング、ダンパー、スタビライザー、キャンパー角、トー角の6つです。

・車高
その名の通り、車の高さの調整です。
一般には、車高を下げると重心点も下がり、コーナー時のロール量が減るため、安定して曲がれるようになります。
ただし過度に下げると、底部を路面に擦ったりしますし、サスペンションの可動域に余裕がなくなって、バンピーなコースでは車が跳ねる原因になります。
ですので、路面がフラットなコースでは低く、逆にバンピーなコースではやや高めにします。
特にダートコースでは、標準より高くすることもあります。
なお、前後で高さを変えることで、車の性格を変えることもできますが、思うような結果にならないことも多いため、基本的には前後同値をお勧めします。

・スプリング
路面の凹凸を吸収し、タイヤを適切に路面に接地させるためのバネの強さを調整します。
車高を下げた場合、サスペンションの底つきを防ぐため、スプリングも硬めにしなければなりません。
しかし、必要以上に固めるとタイヤが路面を追従できなくなり、曲がれない、加減速性能が落ちるなどの弊害もあります。
本来であれば、スプリングレートは固有振動数を計算し、それに従って調整するらしいのですが、GTシリーズではそこまで厳密にする必要はないと思います。
固有振動数を計算しようとすると、サスペンションの構造(マルチリンクとかストラットとか)、その他係数を知らないといけないのですけど、車の諸元表にその記述がないので、計算できないからです。
フロントを硬めにすると、ブレーキ時の重心移動が少なくなるので、アンダー傾向になります。
柔らかくすれば逆にオーバー傾向になりますが、柔らかすぎてもヘッドダイブしすぎて曲がらなくなります。
しかもそこで無理やり曲げると、今度はいきなりテールスライドを誘発するなど、非常にピーキーになってしまいます。
リアを硬くすると、加速時の重心移動が少なくなり、プッシングアンダーを減らせます。
しかし後輪駆動の場合、全体の加速性能は落ちますので、バランスが必要です。
前輪駆動の場合は、逆に前輪の荷重抜けが減るため、加速性能も上がりますが、極端に跳ねやすくなるので注意が必要です。

・ダンパー
伸び縮みするバネの動きを止める、減衰力を調整します。
硬くするとスプリングレートを上げたのと同じような効果が得られます。
補助的なものですので、乗り心地に合わせて調整するのもいいかもしれません。
GT6では全般に車がふわふわするので、私は硬めの調整にしています。

・スタビライザー
車のロールを抑えるためのバネなどの強さを調整します。
強くすれば、コーナー時の姿勢が安定します。
しかし、あまり強すぎても、イン側のタイヤが浮いてしまい、横転しやすくなります。
強すぎても弱すぎても不安定になるので、一番タイトなコーナーを走った時に、最もスムーズに曲がれる強さを見つけることになります。

・キャンバー角(ネガティブキャンバー)
普通は、タイヤは路面に対して垂直になっていて、ゆえに停止時には接地面積も最大になるのですが、コーナー時は車がロールするため、必ずしも接地面積は最大になっていません。
なので、あえてタイヤをハの字型に取り付けることで、コーナー時の接地面積を増やすための調整が、このキャンバー角です。
車がどの程度ロールするかで、最適角度は変わります。
多すぎても少なすぎても、必要な効果は得られません。
また、直線においては、確実に接地面積が減るために、タイヤが片減りしやすくなる、制動距離が伸びる、といったデメリットがあります。
コーナーがどうしても曲がりにくい、あるいはテールスライドが激しくなりすぎる場合に、調整してみるといいかもしれません。
アンダーが強い場合はフロント側、スピンしやすいならリア側を調整します。

・トー角
タイヤの進行方向に対する取り付け角度で、トーインにすれば直進安定性が、トーアウトにすれば回頭性が上がる…らしいです。
極端に変更すると、まじめにまっすぐ走れなくなるのですが、今ひとつ最適値がわかりにくい項目でもあります。
よほどのことがなければ、ここは触らない方がいいかもしれません。


2.ダウンフォースセッティング
レーシングカーを始めとしたいくつかの車は、ダウンフォースの強さを変えることができます。
少なくとも、チューニングパーツとして、リアスポイラー(リアウイング)を取り付ければ、リア側の強さは変えられます。
始めの説明通り、大きくすればダウンフォースは強くなりますが、それはイコール空気抵抗を大きくすることになります。
車の安定性、あるいは回頭性を得る代わりに、最高速度は落ちると思ってください。
フロント側を強くすれば、回頭性がよくなります。
リア側を強くすれば、直進安定性がよくなります。
アンダーステアかオーバーステアかを決めるのは、フロントとリアの比率だと思ってください。
つまり、フロント100:リア150と、フロント500:リア750は、非常に似た挙動になります。
あとはコースの性格の問題で、高速サーキットでは全体に小さくし、低速サーキットでは大きくすることになります。
なお、もともとダウンフォースの設定がない多くのノーマルカーに、フロントスポイラーを付けても、大きな変化はありません。
若干安定性が良くなったかな?という程度で、明らかにアンダーステアな車は、それを付けただけでは直りません。


3.パワーセッティング
レーシングマフラーや、過給器を付けることで、パワーアップすることができます。
車のパワーには2つの指標があり、同じPPでもどちらを優先するかで、得意なコースが変わります。

・馬力
一般に車のパワーと言ったらこっち。
最高速性能を決める一番大きな要素です。
エンジン特性で最大馬力が出る回転数は異なりますが、最も高いギアでその回転数で走った時の速度が、その車の最高速度と言えます。

・トルク
加速性能を決める要素です。
こちらもエンジン特性で最大トルクを発揮する回転数は異なりますが、最も低いギアでその回転数で走った時の加速度が、その車の最大加速性能と言えます。
小容量ターボでは低回転域の、大容量ターボでは高回転域のトルクが特に強化されます。
加減速を多く要求されるコースでは、馬力を少し犠牲にしても、トルク優先で強化した方が速くなります(同PP時)。


4.トランスミッションセッティング
CVT車を除き、車の最高速度を調整します。
AT操作の場合は、コースごとの一番速度が出る区間で、レブリミットに当たらないセッティングにすればいいかと思います。
MT操作の場合は、一番上のギアはAT操作と同じように決定しますが、中間のギアは主要なコーナーごとのコーナリング速度に合わせておくと、非常に走りやすくなります。
ただ、エンジンの出力特性の関係で、最適値は都度変わります。
GT6のATは仕様上、レブリミットまで回らないと上のギアにチェンジしないので、特に街乗りを意識した小さなエンジンでは、MTに比べて著しく不利になることもあります。
こういう場合、低いギアをスーパークロスに設定し、高いギアをワイドに設定すると、結果的に速くなったりします。


5.車重セッティング
軽量化、もしくはバラストによる重量化です。
軽量化すれば、コーナリング性能は上がり、加減速性能も上がります。
耐久レースでは、タイヤの耐久性にも影響してきます。
特に低速サーキットでは、パワー強化よりも優先すべきチューニングです。
しかし、その分PPに対する影響も大きく、思った以上にパワーを削らなければならなくなることも。
どちらが最終的に速いかは、走ってみるしかありません。
なお、バラストによる重量化の際には、前後の重量バランスを変えることができます。
フロントヘビーだとアンダー傾向になるので、この場合は後ろに積むとコーナリング性能が向上します。
逆にエリーゼのような極端にリアヘビーな車は、フロントに積むとおとなしくなります。


6.その他
カーボンプロペラシャフトとか、トリプルプレートクラッチなどは、正直デメリットはありませんので、(費用面で問題なければ)どんどん付けてしまいましょう。
本来は、低回転域のトルクが減少するデメリットがあり、かつてGT2では、スープラをフルチューンしてこの組み合わせでパーツを付けると、エンジンが回らず、スタートで出遅れるという現象がありましたが…。
GT6ではそういったことはありません。
唯一、アンチロールバーだけは要注意で、スタビライザーを恒常的に強めセッティングにするのと同等なので、横転しやすくなります。
それでなくてもGT6は横転しやすいので、ない方がいいかもしれません。


ノーマルカーのほとんどは、標準サスペンションは街乗り用にセッティングされています。
公道なんて超バンピーですから、スプリングもダンパーも柔らかい。
交差点ではせいぜい時速20km/h程度で曲がるわけですから、タイヤ寿命などを考慮して、キャンバーもついていません。
一部のレーシングカーでもキャンバーが設定されていないのは、機密事項で教えてもらえなかったのか、ショールームで調べてしまったのか…。
いずれ、高速走行には向かないので、サスペンションは早い段階で交換、調整することをお勧めします。
コースにもよりますが、サスペンションだけいじった状態でも、ラップ当たり数秒変わることもあります。
将来実装されるBスペックでは、おそらくその傾向が強くなると予想しています(GT5の時を鑑みて)。
一番複雑で、面倒な部分ではありますが、一番楽しい部分でもあります。
プロのレースでも、ここに一番時間をかけ、その結果が勝負に大きな影響を及ぼすわけですから。

なお、冒頭でも言いました通り、実車のチューニングは知りません。
正確な知識が欲しい方は、それぞれチューニング実践者/社のホームページでご確認ください。
本来ならそれがGTの世界でも通用するんですけどね。
合わない部分は、ゲームとしての制約、ということで。