管見 プロメテウスの罠 41-1 | 夢破窓在のブログ

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管見 プロメテウスの罠 41-1

第四十一章 汚染水を止めろ

P202 葬られた原発の四方を囲む遮水壁案

<SCRAP>
P202
東京電力福島第一原発地下には山側から毎日800トンの地下水が流れ込んでいる。うち400トンは震災で出来た隙間などから1~4号機の建屋地下部分に侵入し放射能汚染水となる。
たまった汚染水はいま約50万トン、タンクの数は1千基を超えた。
東電は2015年度末までに80万トンを貯蔵できるようタンクを増設することにしている。
これまで対策委は地下水の流入を遮断するため、原発を囲む土壌を凍らせる「凍土方式」の地下遮水壁を作ることを提案していた。

コメント;
なんで「汚染水」などと呼んで貯めこんでいるのでしょうか?
せっかく地下水が洗ってくれているのですから、そのまま海に流せば良いのです。

アテにならない数字ですが、原子力災害対策本部によれば2011年6月の発表で今回の事故で大気中に放出されたセシウム137の量は1.2x10^16ベクレルだそうです。
原発の位置から考えて半分が海に落ちたと考えられます。6x10^15ベクレルです。

2013年8月22日のNHKのニュースによれば、約2年間で「地下水と共に海に流出した放射性のストロンチウムとセシウムの量は、東京電力の試算で最大で合わせて30兆ベクレル」と書いてあります。Cs137が20兆ベクレル、Sr90が10兆ベクレル。
セシウムに注目するとベントなどで海に落ちたセシウムと、タンクから漏れたセシウムの比率は、
 20x10^12÷6x10^15=3.333x10^-3
2年間で3333分の1が海に漏れたと言う話です。
このあと6年間同じ量の流出が続くとして新たに漏れる量は1111分の1が追加されるということです。
なんで今更「地下遮水壁」なんてこしらえる必要があるのでしょうか?

おびただしい量のタンクに蓄えたのでタンクで沈殿し結晶するものもありますから、海に出た量は少なくて済んでいる可能性もあります。
何個かのタンクの上部の水を調べてセシウムの量を計測すれば良いのです。タンクの上半分の量が仮に20兆ベクレルなどだとしたら、上半分は海に流してしまえば言いのです。
文句を言われたら、ベントの時の3333分の1、過去2年間に流出した量と同じ、こんな量で文句を言うなと言えば良いのです。

<SCRAP>
P206
(2011年3月26日)
細野は原子力委員会委員長の近藤俊介が作った「近藤シナリオ」を持ち出して説明し始めた。初めて知った馬渕は「東日本がなくなるぞ」と血の気が引く思いだった。

[ ** 近藤シナリオ ** ]

ネットに載っている2011年3月25日付の近藤シナリオなるものを見てみます。

曰(いわ)く:
「炉心損傷により水蒸気爆発が発生」

コメント:
水蒸気爆発は高温高圧の蒸気が一気に気化することで爆発が起きたかのように破裂する現象です。僅かな隙間があったら蒸気は逃げてしまい高圧にはなりません。
圧力が逃げない重たい蓋の役目をする物質が必要です。
水分を含むコンクリートのようなものの上に、重たい高温・高粘度の熔けた液体がかぶさって上部が固まりかけたような時に発生します。
燃料ペレットは圧力容器に入っている間は溶融する事は考えられません。
ペレットの融点は2800℃、周囲にあるものは燃料棒の鞘も圧力容器の鋼鉄も融点は1500℃程です。容器から水が無くなったとしても容器の鋼鉄がペレットの熱を奪います。
圧力容器が熔けて、格納容器の下に落下したとしてもその後はコンクリートが鋼鉄に代わってペレットの熱を奪います。ここには圧力容器が放出した蒸気が凝固した水が存在しますから大量の水蒸気が上がる現象が観測されます。これは水蒸気爆発ではありません。高圧で籠もらせてドカンといかなければ水蒸気爆発とは言えません。

鋼鉄にしてもジルカロイやコンクリートにしても2000℃の燃料ペレットが存在したらトロットロで粘度が低く、蓋の役など果たせません。コンクリートの水分は泡となってブクブク立ち上がるのではないでしょうか?
水蒸気爆発が起きる事が考えられません。
**

曰く:
「メルトダウン後、溶融炉心とコンクリート相互作用により床コンクリートが抜けて、コリウムが下層階に落下してゆく過程」

コメント:
メルトダウンなんて起きません。核連鎖反応が停止してしまっては、燃料ペレットが溶融できる2800℃の環境なんて圧力容器の中でも格納容器の中にも存在する事が考えられません。
チャイナシンドロームの世界は核反応が継続して、発生した熱で地下を溶かしてゆくという話です。核反応に必要な熱中性子は減速材の水が蒸発してしまっては必要な量が確保できず、核連鎖反応は進行できないので、あり得ないといわれています。
制御棒が差し込まれて、反応余熱も、僅かに残る核反応からの熱も、圧力容器の水を蒸発させて減らすことに使われてしまっています。
崩壊熱だけで核燃料が溶融する事は考えられません。
**

曰く:
「Zr+水反応」 → 水素爆発

コメント:
ジルコニウムはチタンと同属の金属です。簡単に水と反応するものではありません。
1000℃近くになると水と反応して酸化ジルコニウムができます。融点2800℃近いセラミックの皮膜で覆われることになります。「Zr+水」の反応は皮膜に遮られて進行しません。
破裂するほどの水素が確保できるとは思えません。
水素は燃料棒の鞘の中のセシウムと水が反応して発生しました。
 2Cs + 2H2O → 2CsOH + H2
12日の午前1時に格納容器の圧力が急に高まっています。鞘が損傷し始めた事を示しています。ジルコニウムとの反応であればこのように急激に気体の量が増えて、圧力が増加する事は考えられません。
損傷のトリガーはセシウムが気化(700℃)したことによる圧力上昇での鞘のパンクが有力だと思いますが、Zr+水により鞘が収縮して破けた可能性もあります。

発生した水素はベントにより煙突から放出する予定でした。
東電の工事ミスによりこの水素が建屋に還流して破裂しました。
破裂した水素は「Zr+水反応」によるものとは考えられない上に、もしこの反応による水素だとしても「水素爆発」とは直接結びつきません。工事ミスがなければ蒸気は煙突から出て行って、水素の破裂は起きませんでした。 
(続く)