米大統領はトランプ氏になった。

ネットでは、勝つ予想とは行かずともかなり来る雰囲気があったので、そう驚きはしない。

 

まず彼がどういう政治をするのかは、「わからない」というのに尽きる。

日本にどういう影響があるかも、全くわからない。

政治経験がないという批判もあるが、これはアメリカ大統領の場合必ずしも問題ではないだろう。

 

 

しかしトランプ氏の行ってきた差別発言の数々が、トランプに投票した人に許容されたというのは、やはり驚きである。

閉塞感をなんとかしたいというのが有ったのは分かるが、だからといって彼で良いのだろうか。

 

ヒラリー氏は言ってみても「米国の普通の政治家」な感じが有るから、彼女になったところでそれほど世の中変わらないという考えは分かるのだが、それにしてもなのだ。

 

 

海外ニュース等で違和感があったのは、「富裕層・知識層」と、「貧困層・無教養層」という分け方だ。まあいろいろなデータもあるわけだけど、その分け方は雑すぎないだろうか。

 

「貧しい人がトランプ氏の差別発言に目をつぶってでも生活を選んだ」のような言説がよくあるのだが、本当にそんなに単純なんだろうか?たしかにそういう人もいたとは思うがそれだけのエフェクト?

 

貧乏でも教養がある人はいるし、知識階級の人には貧しい人の気持ちが分からないというのも違う。色々な経歴の人がいるではないか。

 

 

ヒラリー氏はニューイングランドやカリフォルニアなど地図で言えば左右の端で勝ったが、これらに住んで満足している人々についても、単にエリートだとか金持ちだとかでくくって良いものでもないだろう。

 

トランプ氏は格差社会やグローバル化を問題にした感じもあるが、だからといって差別発言が許容されるわけではない。しかもあれらは「口が滑った」的なものではない。

 

日本でも、いわゆる市民派リベラル層がきれいごとばかりを言うという批判が昔からある。僕もそういうのは思ったことがある。しかし、だからといって彼らの言うことの「逆」が正しいというのは乱暴であり開き直りだ。

 

「トランプ氏の<差別発言>が生活に直接関係ない、今の<困窮>が問題だ」というような言説もあるのだが、これは危ない。差別社会が広まれば結局命に関わってくるのだ。その2つは比べるものじゃなくどっちも問題だ。

 

出来杉君やしずかちゃんが良いことばかりを言うからと言って、スネ夫やジャイアンが正しいとはならない。これ、引っかかったらダメなやつ。

 

 

別にトランプがそれほど危ない政治家とは思わない。軍国主義者でもないしネオリベ推進というのでもない。「わからない」人だしある意味では安全だ。側近には常識人(良くも悪くも)も付くことだろう。

 

ともあれ、なんとも不思議な感じのする選挙だった。彼自身のことではなくてアメリカ市民についてよく分からない・戸惑うという印象が大きい。住んだこともないしそりゃ分かるわけもないのだが…。

 

 

重要に思ったのはやはり憲法だ。もしもだがトランプ氏が変な方向に行ったとしてもそこには憲法というものがある。

 

民主主義でトランプ氏が選ばれたというのは、同時にヒラリー氏の支持者も相当数いることを示している。結果が逆だったとしても同じことだ。負けた方も、いや投票しなかった人も蔑ろにしないのが民主主義だ。

 

昨今の色々な流れでは民主主義を過剰に賛美したり逆に貶したりする言説もあるが、民主主義はベストなものではなく、「哲人政治」ができないから仕方なく行うものでもある。