ビートルズ解散時のポールの感傷 | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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ハンドメイド・エフェクター・ブランドBOOROCKS(ブロックス)のスタッフによる、音楽(BEATLES & Fender)と映画の気ままなブログ。

こんにちは。まだリハビリ中のJohnです。事実に基づいたフィクションをお送りしています。今日も楽しんでください。


ビートルズ解散時のポールの感傷


 『今や全員が俺の敵だ。「サージェント・ペパーズ」以降、結局俺が奴らの尻を叩かなきゃ動かなかったじゃないか。でもリーダーになりたいと思った訳じゃない。リーダーはあくまでもジョンだ。その証拠にジョンをアップルの社長に据えたじゃないか。分かってるさ。ジョンが本当に欲しかったのはビートルズなんだ。俺がビートルズを盗んだと思ってるんだろう。でも俺が動いて皆の尻を叩かなければ、ビートルズはもっと早く終わってた。俺はビートルズであり続けたかったんだ。』
 彼は、スコットランドに新しく購入した大農場にこもり、酒浸りになっていたのだ。この日も朝からスコッチ・ウィスキーを生のまま飲んでいた。彼はジョンとの最初の出会いを思い出していた。『ジョンのバンド、クォーリーメンの演奏を聞いたけど、感心はしなかった。ただ僕がそこでギターを弾いたら、こんな風には弾かないとか批判的な目で見てたな。ただジョンのあのボーカルにはちょっとヤラレタな。後で楽屋に行ってジョンと初めて会ったけど、ただ酒臭かったな。ただしあの独特の突き放すような物言いには、魅せられたな。思えばビートルズに入っても、ずっとジョンだけを見てきた観がある。 『人はバンドに一体感が薄れてきたと言うかもしれない。そうかもしれない。そうだとしたら、俺はライブを中止した影響もあると思っている。ライブでのあの高揚感をバンドで共有するって大事だと俺は思う。バンドの中でのジョンと俺の主導権争いがあったと人は思うだろう。でも違うんだ。俺は結局ジョンをうならせる曲を作りたかっただけなんだ。だからこそ「All My Lving」や「Yesterday」ができたと思ってる。』

 ポールはまた一口、スコッチ・ウィスキーを口に運んだ。『ビートルズを存続させようと、ただそれだけで俺は頑張って来たつもりだ。だから脱退宣言の中で「ビートルズがビートルズを去るだけだ。」と発言したんだ。でもその我慢もあのことで我慢の限界を超えたんだ。「Let It Be」セッションのテープのことだ。あのテープ、ジョンが持ってたんだけど、フィル・スペクターに委ねたんだ。フィルに委ねることは構わない。俺が許せなかったのは、俺の曲に勝手に手を加えたことだ。一言もなしにだぜ。あれには頭に来た。我慢もここまでだと思った。ジョンも一言くらい言ってもいいじゃないか。「Let It Be」のアルバム制作では多重録音をせず、生のビートルズっを聞かせようと皆で相談したんだ。というのもその前のホワイト・アルバムでは多重録音が多すぎて、メンバーが全員揃わなくても曲が作られてた。そうではなくて、今度はメンバー全員が揃って演奏させたかったんだ。だから多重録音を禁止したんだ。でもジョンはその約束を易々と反古にした。それも相談なしに。だから頭に来たんだ。』
 ここでポールはまたスコッチ・ウィスキーを一口飲んだ。『でも分かってるんだ。この怒りがいつまでも続かないことを。だってジョンは俺にとって兄弟みたいなもんさ。兄貴を鬱陶しく感じるときは必ずあると思うけど、その感情がいつまでも続かないのと一緒さ。』