夕方5時の定時終了でしたので、来月BS日本映画専門chで放映予定のお薦め作品の記事を再掲載します。
「東映の狂犬」渡瀬の恒さんの魅力全開の痛快作品…これが去年の東映chでの放映に続き、BS日本映画専門chで10月に数回放映されます。
中島貞夫監督「狂った野獣」。昭和51年・東映京都。
※BS日本映画専門chの番組・放映日時の案内は此方から→http://www.nihon-eiga.com/program/detail/nh10005454_0001.html
宝石強奪犯の恒さんが京都市内で路線バスに乗車。
そこに逃走中の銀行強盗犯が乗り込みバス乗っ取り事件発生。
強盗同士の戦い、乗客の心理、そして警察との攻防を丁度いい約80分の中で、凝縮して描かれた傑作です。
テストドライバー時代の恒さん。
業務中の事故により解雇され、世の中に対する不満から宝石強盗を犯します。
乗客としての恒さん。
バスを追っかけ、全力で走る恒さん。
走るオートバイから走るバスに乗り移る恒さん。(オートバイを運転するのは当時新人の星野じゅん)
因みにこの場面は恒さん本人が演じています。
「あぶない刑事」劇場版第一作目(昭和62年・東映東京)で舘ひろしも自ら運転するオートバイからダンプに乗り移るアクションを見せましたが、これより10年も早く恒さんはやっていた!
バスを運転する恒さん。
この為に大型免許を取得した、とも…
さすがは我らが狂犬!偉大なる恒兄ぃ!
相棒の星野さんのアップ写真。
乗客の1人で、大道芸人の志賀勝。
この当時では珍しい善人役、白塗りとは…
ニュース速報を担当する、若かりし日の鶴瓶師匠。
同年「トラック野郎・天下御免」(昭和51年・東映東京)にも鶴光師匠と共に出演。
強盗は…これまた顔が怖い片桐竜次(左)と拓ボン(右)
イケイケの片桐さん、気の小さい拓ボン。
追っかける警官の1人に、室田の日出さん。
バスの後部で恐怖を味わい、最後にはバスの屋根に乗り移るのに失敗する悲惨な警官。
子供の乗ったバスが則られたのを聞き、パックをしていたのも忘れて外へ駆け出す主婦…等々、庶民・観客目線かつ、誰でもそうするであろう演出もきちんと描かれている点はさすが東映!
そして、トラックを使ったアクションは多く有りますが、バスをここまで酷使した作品は恐らく有りません。
プレハブに突っ込む!
パトカーとカーチェイス!
そして横転!
解り難いですが、この横転も恒さんが自らハンドルを握っています。
此方も解り難いですが、サクさんの「暴走パニック大激突」(昭和51年・東映京都。下の写真)や「新仁義なき戦い・組長の首」(昭和50年・東映京都)でも自らカーアクションをこなしています。
「北陸代理戦争」(サクさん・昭和52年・東映京都)の撮影中にジープを横転させた際、重傷を負い降板した事も有りますが、今でも「十津川警部シリーズ」(TBS)でスピンを一発で決める等々、危険なカーアクションを自らこなす特攻精神は、日本の役者の中でも現在に至る迄、非常に少ないです。
そして、当時としても実際の警察では警邏車として第一線を離れていた車種が、東映の数多くの作品(テレビを含む)では第一線のパトカーとして大活躍!
この作品でも…
50型セドリックスペシャル。戦後国産車初の2800エンジン搭載車。
S40系トヨペットクラウンエイト。此方も戦後国産車初のV8エンジン搭載車。
その後継のS50系クラウン。
因みにバスは昭和40年前半の日産ディーゼルの大型路線バス。
車体はスバルの富士重工製。
今では日産ディーゼルはUDトラックスと社名を変更し、バスの開発・製造・販売を止め、富士重工はバス車体の市場占有率が当時は一番でしたが、諸般の事情から現在は車体製造から撤退しています。
最後に、編集ミスと思われる場面を…
恐らく、裏のまま編集したんですね。
日本は右ハンドルですから…
今なら即、くだらない馬鹿な連中から苦情や批判が飛ぶでしょうね。
でも、作品が面白くて中身が良ければこんな些細な事は俺は一切気にしません。
逆に、こういう発見を楽しみながら、当時の作り手がどれだけ過酷な中で面白い作品を作っていたのかを理解出来るし、失敗を全く気にさせない製作力の高さに感心します。
※追記…10/7~11迄、この「狂った野獣」と「日の目を見られなかった名作」の「鉄砲玉の美学」が連続放映されます。
07:00~「鉄砲玉の美学」・09:00~「狂った野獣」の構成。
「鉄砲玉の美学」の作品・放映時間案内は此方から→http://www.nihon-eiga.com/program/detail/nh10001132_0001.html