一郎がまさか自分で債務整理をしていたなんて・・・
一郎からの報告は、花子にとって非常に衝撃的でした。
一瞬、離婚しない方がよかったのかな・・・って思ったのは事実です。
でも、すぐに、離婚はしてよかったと思い直しました。
去年の夏、一郎の投げやりなひとことをきっかけに、花子の愛情はいっぺんに消え去ってしまいました。
そんなことが起こり得るなんて、過去の花子は思いもしなかったけれど、愛情が憎しみに変わってしまいました。
そして、花子は、夫を捨てることを決意します。
ちょうど、9回目の結婚記念日の直前でした。
ある日突然、目の前からいなくなったんです。
しかも、夫の留守中に。
家の中はからっぽ、マンションは解約。
もし反対の立場だったら・・・と思うと、とても胸が痛くなりました。
でも当時は必死だったし、そうせざるを得ない状況だと思っていました。
債務整理をしたところで、花子の愛情が復活するわけではありませんが・・・
ただ、少しだけ、罪の意識から逃れられました。
ポイッと捨てたことの、罪の意識です。
調停の最中に、一郎がこう言ったのを覚えています。
(内容は、調停員を通して聞いたものです)
「花子が行動してくれてよかった。
早い時期にこうなったことで、自分もまた残りの人生をやり直すことができる。」
そう言ったんです。
当時は、その真意が分からなかったけど、今は分かります。
一郎自身も、借金から逃れたい気持ちがあったんですね。
ただそれを、ずっとずっと後回しにしてきた。
家族にすべてを知られるのが、怖かったのかもしれない。
きっと、いろんなことから逃げていたのでしょう。
でも結局、花子と吾郎に逃げられ、残ったものは借金だけ。
そこで、やっと自分で行動することを決意したのだと思います。
そして今は、借金も無くなったし、ひとり身軽にもなった。
新しい事業を始めるなどというのは、50歳を前にした妻帯者なら躊躇することでしょう。
(もしまだ離婚していなかったら、間違いなく花子は反対していたと思います。)
独身だからできることです。
今の一郎の姿を見ると、イキイキとしてとてもエネルギッシュです。
手かせ足かせがなくなり、借金もなくなり、自由を手にした喜びに満ち溢れています。
一郎が毎月の返済地獄&自転車操業から完全に足を洗えたことは、花子にとってもうれしいことです。
あとは、今後の一郎の生き方ですよね。
もう2度と、同じ過ちを犯さないでほしい。
一度は愛した男です。
どこかで腐ってるより、イキイキと暮らしていて欲しいです。
吾郎の父親でもありますし。
今後のことは、花子の関知するところではありませんが・・・
ぜひぜひ、まともな人生を送って欲しいものです。
妻が夫を捨てるとき・・・
それは、妻が夫への愛情を失ったときでした。
捨てられた夫は、妻を失ってやっと自分で1歩前に進みました。
もう遅いけど、でも、初めて自分で行動しました。
夫を捨てた妻もまた、ひとりで新しい人生をスタートさせました。
別々の道を歩き始めた2人ですが、それぞれに幸せになれるよう祈りたいと思います。
吾郎の両親という点では共通していますが、互いに別々の道を歩むことが、互いのためだと信じています。
出会ってから10年。
結婚してから9年。
吾郎を産んでから8年。
借金を知ってから7年。
脱出してから7ヶ月。
離婚してから3ヶ月。
どのターンも、花子の人生において必要不可欠のものだったと、今は思えます。
また、すべての出来事を自分の運命として、素直に受け入れようと思います。
結婚したことも、離婚したことも、どちらも後悔していません。
私の人生、まだ終わったわけじゃない。
もちろん、一郎の人生も。
妻が夫を捨てるとき
それは、花子にとって
新しい未来が始まるとき
++ 終 ++
Special thanks for you, from *mikan* (^-^)/~