緑高の楽屋

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BL小説書いてます。
本家「まっちゃまろまん文庫」の整理ブログです。
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ブログ小説「まっちゃまろまん文庫」を整理してアップしています。




本家「まっちゃまろまん文庫」


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現在 『シトラス』『トウゲンキョウ』『マーマレード』再推敲中
本家「まっちゃまろまん文庫」で挙げている『不知火』関連の話です。
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一言一言が凶器。
一日おいたことでサクラ先輩のダメ出しはしっかり熟成されていた。整理したんだろうな。冷静に話せるように。昨日言わなかったのは時間というより、。あのまま言ったら大爆発すると思ってセーブしたんだろう。



「そこがうまくいかなかったのは何で?」
「……すみません。」
「そう。」
「……………………。」
「で、何で?」
「え……」
「終わったと思った?」
「あー…………」

「アアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
????!!!!
「嫌だ!!何かムカつく!その生ぬるい感じ!」
「生ぬるいって何よ。」
「殴りたい!!そいつ殴りたい!!」
恐……
やりかねない。サクラ先輩なら言葉だけだけど、紅時先輩なら本当に手を出しかねない。しかも殴るよりももっと上手い痛めつけ方で。しかもバレないように。そりゃ怯えて震えるのもわからなくはない。でも……
これじゃダメなのもわかる。


サクラ先輩たちがやる気満々で残ってくれるから助かった。でなけりゃたった今から二年のオレらが部活を引っ張るとこだった。今涙ぐんでる子たちも、きっと明日には全部忘れて笑ってる。だから大丈夫。いずれ誰かが引っ張っていかないといけないけれど、それはおいおい……。サクラ先輩なんかも最初からああじゃなかったはず。一年の時はその先輩たちが引っ張ってた。現に今の一年だって……
いや、一年は斎藤がいるか。うらやましいな。ああいう人材が最初からいるのは。オレらの代には……



……アイツがいてくれたらよかったんだけど。



「じゃ、今日はこれで解散。」



「はあ~……」
空気解凍。
「恐かった……」
「片づけやるかとか聞いた?」
「舜貴が言ってたって。」
「知らないよ、そんなの。てか、やるなら時間とかちゃんと連絡してくれないと。」
「下級生が気を使って動けってやつ?」
「やだ、そういう運動部みたいの。だから文化部入ったのに。」
オレもそう思う。ああいうピリピリした空気は苦手。そりゃ、何もしないのはおかしいけど。最低限のことさえちゃんとしてれば問題ない。
「先輩たちがすごいのはわかるけどさ、オレらにはあんな才能ないし。」
「あそこまで部活に燃えようとは思わなかった。」
サクラ先輩たちが残ってくれるのはありがたいけど、
「あのギスギスした空気の稽古がまだ続くのか……」
「もっとほのぼのでいいんじゃない?」
「オレらの代はそれで行こうよ。」

…………。
「舜貴?」
フイッ
あ……
「舜貴はガンガンやりたいんだろ。」
すごいな。オレらなんかより先輩との接点多くてしんどいはずなのに。
先輩たちが作るものはすごい。オレもあの中に入って作ってみたい。そう思う気持ちもわかる。せっかく全国レベルの部に入ったんだし。
けどもっと楽しくやる方法もあるはず。他のたいていの学校はそうだし。何が何でも全国レベルを目指す必要なんてないんだ。無理をしたら潰れてしまう。オレたちはオレたちのペースでやらないと……
「アイツは『先輩側』だから。」
また同じことの繰り返しになる。


……生きた心地がしない。
とくに何か言われたわけじゃない。けれど確実に、間違いなく先輩たちの機嫌が悪い。

大会本番翌日の反省会。
「えっと……英田先輩がキレイでした。」
一人一言ずつ「反省」を述べていったところで小野田のこの発言。反省じゃない上に何を期待しているのか、うれしそうにチラチラと英田先輩の顔見てるし。当の英田先輩にはスルーされ、紅時先輩には睨まれ……って気づいてないのか?できれば他の三年生の顔色にも気を遣ってほしい。
真夏なのに空気が冷たい。「出たよ!!」とかのんきに笑っている奴らがうらやましい。まちがいなく空気はゆがんでる。
こんな時、アイツがいてくれたら……
……そしたらもっとひどいことになるか。先輩より先に噴火して目も当てられないような修羅場になりそうだ。


「……悪いけど、アタシは明日にさせてもらうわ。」

「下校時刻すぎちゃう。」
「まだ30分以上あるけど?」
「足~りないよな~。」
「じゃ、オレは明後日に。」
…………
さすがに誰も笑わない。
「あ……じゃあ、片づけを……」
もうこの緊張感に耐えられない。空気を動かしたらちょっとは……

「何の?」
え?
「……あ。」
「もう終わりました。」
ああ、一年がやってくれたのか。さすが……
「声かけたよね。二年にも
舜貴!
そういえばそんな気もする。けど……忘れてたっていうか、いや覚えてる。思い出した。でも本当にやるとは思わなかった。雑談みたいなもんだとばっかり。
他のみんなもそうだよな?実際誰も来てなかったわけだし。だからみんな……

こういう時、目を合わせてくれないんだよな。誰も。