東京に出てきて8年が経った。
一人暮らしをするのは東京に出てきてからが初めてだった。先に東京に出てきていた一つ違いの姉がいた為か、寂しさは不思議となかった。
ただ、仕事が終わりアパートに戻ると・・・なぜだか、理由の無い不安感に襲われた。
満足できるとは言えない給料かもしれないが、月末になると
種類分けした封筒を作る習慣があった。
ガス代
電気代
家賃
NHK
貯金
・・・
あまった分を小遣いにしていた。
東京に出てきて8年・・・もう30歳になってしまった。
彼女がいなかったわけではない。
結婚を考えなかったわけではない。
ただ、そのチャンスを逃しただけなのかもしれない。
今は、ひとり。
家に帰るとすぐにテレビの電源を入れ、お湯を沸かす。
カップラーメンのフタを片手で開け、調味料はすべてゴミ箱に投げ入れ、割り箸で止めた。
たまに電子レンジでチンをするご飯も一緒に食べた。
田舎から冷凍の煮物が送ってくると、それをチンして食べた。
もう随分長いこと移動していないソファーに腰をかけ、カップラーメンを食べるには少し低いテーブルで、麺をすする。
面白いかもどうかも分からないテレビをボーとながめ、ラーメンをすすっているからなのか――――
理由の無い不安感がこみ上げてくる。
いつからなのか。いや、「いつからか」という表現は間違っているかもしれない。
島根の田舎からここに引っ越してきた時からずっとだ。
手がブルブルと震えだすのではないかという錯覚がしていたが、けっして震えてるわけではない。
仕事は朝が早い。一通りテレビを見ると、冷たいベッドに入り、朝を迎えるだけだ。
また、明日もいつもと同じ時間が繰り返されるのだろう。
そうだ―――ずっとだ。
ここに引っ越してきてからずっと、この不安感は続いている。
自分にはもったいないくらい可愛い彼女ができ、これから人生楽しくなるのではないか!
そんな時期もあったのにいつも理由の無い不安感が襲ってくるのだ。
なぜなんだろうか。僕は小心者なのか・・・?
朝5時。目覚まし時計がビリリリリン 鳴る。
カーテンを開けると、太陽が新宿のビル群の合間から今にも飛び出してきそうな光線がまぶしい。
空の支配者が変わる。
僕の心の支配者は、いつ変わるのか・・・。
※この話はフィクションです。
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見えない世界はそこらじゅうにある。
普通には目に見えないかもしれない。
普通には何も感じないかもしれない。
しかし、引越し先は十分に検討する必要があるのかもしれない。
時に
前の住人が落としていった「不安感」という念玉はいくら畳を変えたって、いくら壁紙がきれいだって、念玉は消えはしない。
霊媒体質であるがゆえに、前の住人が落としていった「不安感」を感じ取り、理由の無い「不安感」に人生を狂わされることだって・・・あるのかもしれない。
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