REPORT - 0805│JR東海 飯田線 小和田駅（秘境駅）
静岡県│ 小和田駅（秘境駅）
滅びの美学 [ 廃墟・廃屋・遺跡・廃村・廃道 ] 探索 - 飯田線 小和田駅／秘境駅
国内に幾つか在る秘境駅と呼ばれる人里離れた駅達、その昔北海道をツーリング中に寄った室蘭本線の小幌駅の印象が余りにも大きかった為にその他の秘境駅に興味は無かった。あの頃は「小幌太郎」さんの事も存じ上げなくて会う事も無かったなぁ、今思えば勿体無い事をした。
ウィキペディア - 小幌駅
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e5%b0%8f%e5%b9%8c%e9%a7%85
今回紹介するのは静岡県に残る秘境駅「小和田駅」だ、この名前からして色々と有名に成ったので覚えている人も多い事だろう。
ウィキペディア - 小和田駅
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e5%b0%8f%e5%92%8c%e7%94%b0%e9%a7%85
それにしても余りにも有名で今更色々と書いても何と言うか、「んなこたぁ知ってるわ」って言われそうで何とも。ああ、それと。静岡と言っても珍しい立地に存在していて「静岡県」・「愛知県」・「長野県」と３県に跨る様な場所に位置している、これもこの小和田駅を物珍しくしている要因の一つだ。
さて、私達がこの秘境駅に来たのには理由が幾つか在る。この魅力溢れる立地もさる事ながら付近には余り知られない廃墟や廃屋が残されている事、廃車（廃バイクも）、そして本命の高瀬橋だ。
今回はこの高瀬橋を割る為にやって来た様な物だ、いや”だった”と。今回初っ端に敗北宣言、と言うかアレはどうやったって無理ですよ、幾つかの引用写真をご覧頂きたい。
２００１年の高瀬橋、この頃はまだ大分踏み板が残っている。この頃ならば「割る」事も可能だった筈だ、と言うのも１９９０年代後半～２０００年代初頭の写真を何枚か確認したが橋の双方から踏み板を伝う事が可能だったと判断出来る点、それと主柱からのアクセスが樹木に邪魔されない程度の茂りだった点だ。
少し時間が経過して２００８年、中央部の木部は殆ど崩壊している。この吊橋が小さければワイヤーを伝えば良いのだけれどこの橋、実際はとても大きい。
同じく２００８年の遠撮、中央部に若干木部が残るが橋の双方からはアクセスが不可能と成っている。いや、クライミングギアを駆使すれば行けない事はないのだけれど。
２０１１年、つい最近（２０１３年現在）の写真だ。小和田駅からの山道を経て辿り着く高瀬橋最初の風景と成る、少々望遠気味だけれど中央部の木部も痩せ細り、木部の全崩落も時間の問題だ。
栃木県の旧竹ノ上橋に酷似した崩壊した廃橋、この高瀬橋をどうにか「割り」たいとココまで来たのだけれど…あー、こりゃだめだ。
写真じゃ解り辛いけれどまず主柱を登るのがシンドイ、左側の岩か右側の樹木から上手く飛び移ったとしても２０ｍ×２本のザイルと割り橋装備じゃ渡れそうにない。方法が無い訳じゃないけれど圧倒的に装備が足りない。残念だけれど今回は高瀬橋を割るのは諦めよう、まあ旧竹ノ上橋の方が割リスト的に優先順位が先だしなぁ。
って事で今回は周辺の探索と駅を軽く紹介しようかと、廃墟物件は個別にエントリーする事にします。
まあ兎に角立地が凄い、ホントに凄い。
駅舎入口は秘境駅っぽく古い木造、それもその筈。開業は１９３６年、当初は三信鉄道の駅として運営されていました。１９４８年に国有化され、現在の飯田線の駅と成ります。その当時はまだ未舗装とは言え車やバイクが往来出来る道路が整備されていました、それでは何故こんな山間部で陸の孤島と言われる秘境駅に成ってしまったのでしょう。
１９５３年、佐久間ダムの建設がスタートする。このダム建設によって人造湖「佐久間湖」に水没する運命を辿ったのがこの駅の周辺地域駅と成る「豊根口駅」・「天龍山室駅」・「白神駅」、そして大和田駅を主要としていた幾つかの集落だ。
ウィキペディア - 佐久間ダム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%e4%bd%90%e4%b9%85%e9%96%93%e3%83%80%e3%83%a0
このダムの建設によって周辺地域から隔離され、その結果「秘境駅」と成ってしまったのだ。因みに現在でも１軒だけ民家が残っており、住民も住んでいる。
因みに「秘境駅」の語源だが日本の秘境駅研究で知られる牛山隆信が呼称し始めた言葉が広がった様で「秘境駅」の選定基準（牛山隆信提唱）も存在する。
・秘境度 - 周囲が断崖絶壁、深い山林、荒涼とした原野にあり、人家が無い（少ない）
・雰囲気 - 駅舎、待合室、周囲の建造物などに古い歴史を感じさせる
・列車到達難易度 - 列車の停車が極めて少なく、鉄道を使って当該秘境駅に到達するのが困難である
・車到達難易度 - 駅までの道が無い場合が最も高く、次いで歩道のみ、未舗装の林道など、自動車やオートバイでの当該秘境駅訪問が困難
・鉄道遺産指数 - スイッチバック、ループ、引き込み線、廃線跡などの鉄道遺構が存在する
冒頭でも話した３県に跨る立地、駅ホーム内にはこの様な指標まで設置されている。
駅舎構内は６畳程の小さな広さ、木造も随分と老朽化していて裏側には補強用の鉄骨が組まれている。改築の予定は無い様だけれど改修なんかで小奇麗に成るのは嫌だなぁ、こういう無人駅ってホント少なく成りました。
構内には訪れた人が書き込めるノートや名前が同じって事で皇太子妃にあやかってこの場所で結婚式を挙げるカポーさんも出現、俗世的な「御成婚ブーム」に乗っかった十二単結婚式も行われたとか。
駅単体ではそこまで魅力はないけれど周辺の廃物件や歴史を交えて考慮すると結構と楽しめる秘境駅「小和田駅」、「御成婚ブーム」が過ぎ「鉄っちゃんブーム」が過ぎ、そして今後どの様な観光企画を立てて運営していくのか。インフラの問題や緊急事態への対応問題も織り込んで行政には是非一般にも面白いと思える、行きたいと思えるアイディアを出して欲しいと思います。
ああ、でもでも。行政さんも色々と考えてはいるんですよ。
実は当初の目的だった「高瀬橋」、あの橋を掛け直す事が出来れば登山コースとして幾つかのルートが開発出来ます（現状でも歩けますが山屋じゃないとキツイ工程です）。しかしあの高瀬橋は愛知県が有しており、静岡県の観光目的で予算を組む事は難しいそうで。
これに関しても現在色々と動きが在るらしいのでひょっとしたら近い内に高瀬橋が新しく架かる事が実現するかもしれません、割り橋ストには残念ですが。
本日は以上です、近日中に付近の廃物件をエントリー予定です。
アプローチ
実は徒歩で行けます、自転車（ＭＴＢ）でも行けます。自転車の場合ＤＨ経験者だと素敵なコースが、うひゃひゃな急傾斜をぎゃーすな速度で降りる事に成りますがお薦め致しません。山道も一度崩落箇所が在る為、山屋か岩屋のみ挑戦して下さい（ルートは各々自己責任で調べて下さい）。通常は隣接する駅から電車で、車の場合は駐車スペースを確保し易い水窪駅からが良いでしょう。
地図リンク
http://goo.gl/maps/6vlC7
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