「リングにかけろ」や「風魔の小次郎」、「聖闘士星矢」などのヒット作を描いた車田正美の半自伝的マンガ。160309_111338.jpg
このマンガ、車田正美が中三の時から「リングにかけろ」が人気作品となるまでを描いているのだが、友達をはじめ、何年原稿を持ち込んでもデビューできない漫画家志望、一度は人気作家となりながらあとが続かず廃れていった漫画家など、とにかく毎回人が死んでいく。
そして本来なら重いはずの人の死に、なんの重さも感じられないのがこのマンガの特徴である。

身近な人の死が実体験なら、その死を描くと自然に重さが加わると思うが、このマンガからはまったくそれを感じられなかったので、このマンガに出て来る友人達の死はおそらく演出に過ぎないと思っている。

またこのマンガが掲載されたのが週刊少年チャンピオンだったからか、車田正美が実際デビューしたのは週刊少年ジャンプで、当時編集長だった西村さんを週刊少年チャンピオンの壁村さんに変えているのも自伝的要素を薄っぺらいものにしてしまった感じがする。

自伝マンガを描く以上、そこからなにかしらのメッセージを感じるものだが、このマンガからはただ、売れるまでの日々をなぞっただけの印象しか受けず、読む価値がまったくなかった。
車田正美は、その時々におもしろいマンガは描けるが、その中身に濃さをもたせる事はできない漫画家だとあらためて感じさせられた一冊となった。