愛すべき名優たち
勝新太郎と若山富三郎と言えば、御存知、兄弟なのですが、私は結構好き
な役者さんでした。この御二人、若い時には実に脂ぎってギラギラしており
ましたが、歳を経るごとに、その脂が少しずつとれて実に魅力的な俳優さん
になられたように思いました。お二人とも本当にハチャメチャで自由奔放な
役者人生を歩まれて私ども映画ファンを随分と楽しませてくれたものです。
今日は、その中からお二人のエピソードを一つずつ御紹介しましょう。
若山富三郎編 楽屋拡張事件
あるとき東映の若山の楽屋の隣から工事の音がし始めた。若山の取りまきが聞いてきた話では、
高倉健が自分の楽屋が狭いため、拡張工事をしていると言う。
それを聞き激怒した若山は「そっちがそんな勝手するなら俺だって」と、音のする壁と反対側の壁を自ら
叩き始め楽屋を広くしようとした。 若山に壁を叩かれた隣の部屋では
大川橋蔵が弁当を食べていたが、びっくり仰天して飛び出してきた。
橋蔵が「いったい、何やってるんですか?」と尋ねると若山は「壁壊して部屋広くするんや」と。
それを聞いた橋蔵が呆れ気味に「それはいいですけど、僕の部屋はどうなるんですか?」と尋ねると、
若山は正気に戻ったのか「あ、すんまへん」と謝った。 さらにそこに通りかかって話を聞いた鶴田浩二も
激怒し、同じく自分の楽屋を広くするため壁を叩き始めたと言う。
(山城新伍『若山富三郎・勝新太郎無頼控 おこりんぼさびしんぼ』P62~65)
勝新太郎編 ハワイ逮捕事件
1990年1月、アメリカ合衆国ハワイ州のホノルル空港で下着にマリファナとコカインを入れていたとして
現行犯逮捕される。逮捕後の記者会見では「今後は同様の事件を起こさないよう、もうパンツをはかな
いようにする」「なぜ、私どもの手にコカインがあったのか知りたい。」ととぼけ通し、結局誰から薬物を
受け取ったかについて、最後まで口を割ることはなかった。帰国した翌年に日本でも逮捕され、
懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決を受ける。裁判では「傍聴者」を「観客」と呼び、
客を楽しませる台本まで考えてから出廷したといわれている。
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この勝新太郎さん、何かで聞いた噂では、このハワイでの逮捕から日本に
帰国した際には、「たーいまー」って帰って来たそうで、
それを出迎えた中村玉緒さんは、
思わず、「コカインなさい」ってやらかしたそうな (^O^) 。
この逸話が本当なのかウソ話かは、私の知るところではありません
m(_ _ )m 。