11月のその先に 前編  | 恋愛前夜

恋愛前夜

はじめまして。
ここは、私が大好きな漫画から想像した小説を中心に載せているブログです。
作者さま、出版社さま、その他関係者さまとは一切関係ありません。
好きが深まって、個人的に小説を書いています。
心の広い方、二次小説に理解のある方のみお読み下さい。




「花のゆめ?」

「はい、少女漫画の雑誌みたいなんですけど…」
「う~ん…知らないなぁ…それがどうかしたのか?」

蓮から、少女漫画雑誌の名前が出たことに驚きつつ、俺は素直に疑問を口にした。

「社長に呼ばれて、その…花のゆめ?ですか…の雑誌に出てくる男性を演じて、メンズグラビアモデルをやれと言われまして…」

「漫画に出てくる色んなキャラクターを演じるってことか?」

「あっいえ、来年のカレンダーを作るために、それぞれの役にモデルが起用されるそうで、俺もその中の1人をやれば良いみたいなんです」

「…結構大掛かりだな~、でも、俺のとこには、そんな話きてないぞ?」
「何でも、社長直々に受けたらしくて」

「社長…直々に?」

「はい………。」

社長が俺や蓮に確認もしないで仕事を受ける…。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ことわっ」「れるわけないでしょう?」

蓮が俺の言葉を即座に遮った。

仕事に厳しい蓮のことだ。どんな役でも、出来ませんなんて言わないだろう…。


でもさっ、でもさぁっ


なぁ蓮…?

俺。俺。



嫌な予感しかしないよぅぅぅーっ!!!



思わず遠くに意識を飛ばしてしまいそうになったが、視界に蓮の想い人の姿を捉えて、辛うじて現世に留まった。


「キョーコちゃ~~~ん!」

俺の声に気付いて、キョーコちゃんは小走りに駆け寄ってきてくれた。


「おはようございます!敦賀さん、社さん」

綺麗な所作で頭を下げ、俺たちに笑顔を向けてくる。

「おはよう最上さん」
「おはようキョーコちゃん」

お兄ちゃん癒されるよ。さっきまでの憂鬱な気分を忘れて、自然と笑顔になる。

うんうん、蓮の顔も嬉しそうだ。

「あっ、そうだ!キョーコちゃんは、花のゆめって雑誌知ってる?」

「花のゆめ…?少女漫画のですか??」

「へぇ最上さん知ってるんだ?」

「はい!私あまり漫画とか読まなかったんですけれど、社長さんにラブミー部のバイブルだ!と薦められて…」

「「バ…バイブル…?」」


「社長さん曰く、花のゆめには、愛と勇気についての教えが描かれているそうですよ?」

愛と勇気?

脳内でどこぞの正義の味方がバイキンにパンチを繰り出している。
いやいや、あれは、少女漫画じゃないし。

いったい、社長は蓮にどんな仕事をさせる気なんだあぁぁぁぁ