柚姫的日常生活 -5ページ目

辞書

『自分が意味をちゃんと知らない言葉は使いたくないの。』


お母さんが昔に何気無く僕に言ったこの言葉を
僕はとても素敵だと思いました。

当たり前の事だけれど
ちゃんと実行している人って
多くはないと思うから。


だから僕は辞書が好き。
知りたい事がいっぱい載ってる。
(かと言ってお母さんみたいに普通の小説感覚で全ページ読覇したりはしないけれどw)

近頃は電子辞書がお気に入り。
だって僕の部屋にある国語辞典は小学生用だから、あんまり難しい言葉は載ってないし、これなら国語 漢字 英和 和英 故事 熟語 例文多数 片仮名語 用語――――…
いっぱい載ってるから。


けど、紙をめくってめくって
知りたい事を探し出す
あの感覚も良いよね。

両親

お父さんと、今日はいっぱい話をした。
僕は烏龍茶を飲みながら、お父さんはお酒を飲みながら。

幼稚園の思い出から理科の還元まで。
七輪を挟んで何時間も語った。


昔から自分は変な子だった事。
回りの話が全て馬鹿らしくて、でもそれに合わせる内に自分も馬鹿らしくなってた事。
絵を描くときに、皆との感性の違いに苦労した事。
新しい事を学ぶ度に先生を質問攻めにしていた事。
故に先生に嫌われていた事。
「難しいかもしれないけど」と、付けて話された話がちっとも難しくなんてなかった事。
殴られた時の事。
家庭がおかしくなってた時の事。


いっぱい いっぱい話した。
本当にいっぱい。

なんだか、今話さなきゃいけない気がしたから。


お父さんとお母さんに、本当に感謝している事も話した。




決して裕福という訳ではないけれど、お金に困ったという思い出は無い。

本当に欲しい物は昔から何でも買ってくれた。

学校で行う実験に納得が出来なくて、理科の実験用具を僕が欲しがった時、お父さんはわざわざ仕事先の知り合いから実験用具の取り寄せ方を聞いてきてくれた。
せっかくするのなら良いものを使うべきだと言って、42万円もするサックスを買ってくれた。

『どうしても欲しい物』
それは全て与えてくれた。
でも、物以上に愛をもらったと思う。


僕の考えを尊重してくれる。
この家庭に産まれて良かった。




僕は自分の両親を誇れる。
世界一素敵だと胸を張って言える。

そう言うとお父さんは恥ずかしそうに笑いながら僕の頭をわしゃわしゃと撫でてくれた。

皺と傷痕の多い、赤っぽい大きなお父さんの手。
とっても暖かかった。

お父さんに頭を撫でてもらったのは一体何年振りだろう。

暖かい…


だけどそんなお父さんも、昔と比べると少し小さく見えた。
雑誌を眺める、お母さんの後ろ姿を見た時のあの感じ。
小さな、壊れそうな肩。
儚く今にも消えてしまいそうな…

いつの間に、両親が小さく見えるようになったんだろうか。

悲しくて寂しい。
考えたくない事が頭をよぎる。

でも愛おしさもこみあげる。


僕がしっかりしなきゃならない。
両親には十二分に恩を返さなければならない。

大切で大好きな、この二人に。





僕の想いはお父さんに伝わったかな…
ちょっとでも、ほんのちょっとでも、伝わっていれば良いのに。


まだまだ話し足りない。

困惑

どうしたら良いんだよ。

誰かの意見に従えば
誰かは激怒し、泣く

だから方向を変えれば、
その反対。

その繰り返し。




頑張らなきゃ
頑張らなきゃ

言葉ばかりが空回り。




『もう頑張ってるんだから、そんなに頑張らなくて良いんだよ。』

友達も先生も、僕にそう言う。



足が震えて教室に入れない。
嫌な夢ばかり見る。
急に泣き出す。
我慢出来ずに叫び出す。
手が震える。
声が出なくなる。

全部、頑張りすぎたからだと言う。



『もう十分頑張った。』
『もう頑張らなくて良い。』
『休んで良い。』

そう言う。







駄目だよ皆。




だって兄様方とお母様は僕に頑張れと言うもの。

だから頑張らなきゃいけないの。

足が震えちゃだめ。叫んじゃだめ。抑えなきゃだめ。迷惑かけちゃだめ。ちゃんとした子で居なきゃだめ。勉強頑張らなきゃだめ。切っちゃだめ。泣いちゃだめ。逃げちゃだめ。ちゃんと学校行かなきゃだめ。良い子でいなきゃだめ―――――――……








頑張らなきゃ…頑張らなきゃ…
ちゃんと頑張らなきゃ…





捨てられちゃう。