柚姫的日常生活 -4ページ目

浴室

 
教えてあげない。
ホントウの…ホントウのコト。
教えてあげない。
君が大切だから。
 
 
 
 
 
冷たい空気と
冷たい水と
白い息。
 
 
人指し指と
白い目と。
 
 
紅い雫と
鉄の臭いと、
 
 
 
 
 
ぐらぐらぐらぐら
ぐにゃりぐにゃ
 
歪んで溶けて消えていく。
 
 
全部。全部。
 
 
 
 
サヨウナラ

夜遊

ベルベットの手袋をはめて、お気に入りのマフラーをぐるぐると巻いて、ニット帽をかぶって、伊達眼鏡かけて、コートの胸ポケットに携帯だけを入れて…
親にバレないように、そっと玄関の戸を開けた。



冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んで深呼吸。
ずっと続いてた頭痛が少し楽になった気がする。

真っ暗な道に、所々街灯がぼんやりと浮かんでる。
真っ白な白線も少しだけ浮かんでる。
それ以外はほとんど何も見えなくって
田舎だなぁ…なんて思いつつ
少し急ぎ足で国道沿までてくてく歩く。

こんな時間に家を抜け出して桐夜に会うなんてなんだかあの日みたいだなー
なんて。
未だにあの日の夢はよく見て、うなされるんだ。


徒歩約10分で到着。

あの黒い車はもう止まってて
ドアに寄りかかりながら立つ桐夜は煙草吸いながら何処か遠くを眺めてた。

細長い…まるで針金人形みたいなシルエット。

実はタイプなんだよなー…なんて思いながら眺めてたらこっちに気付いたようで、軽く手をふってくれた。




車に乗り込んでマフラーとかを外してたら、ミルクティーの缶を手渡される。
まだ十二分に温かい。
『ありがとう』と横を向けば桐夜は隣でコーヒーの缶に口を付けてた。
さっきまで吸ってた煙草はもう消されてる。
僕が煙草を嫌うのを覚えててくれたのかな…
桐夜のこういう気が利く所が好き。



それからミルクティー片手にお話を聞いて貰った。
こんな夜中に呼び出したらすぐに来てくれて、隣でただうんうんと頷いてくれる存在が居てくれて…それがなんだか無性に嬉しかった。
桐夜には迷惑かけっぱなしだ。



小一時間程話して、お別れをした。
夜中だし…抜け出した事が親にバレたら大変だから。

ばいばいって手を振ったら
何故か『僕の事好き?』って聞かれた。
『人として大好き!』って言ってやったら
いつもみたいににやって笑った。
例えるなら雅さんと市丸ギンを足して2で割ったような笑顔。




桐夜、ありがとう。
元お客さんだから、本当は会うべきでは頼るべきでは無いのは分かっているのに…ね。

ごめんね。

制服

出席日数が素敵に華麗にとてつもなくやばいです。
ほとんど学校行ってない。
たまに行っても遅刻。

義務教育中なので、さして危機だという事も無いですが、将来を考えるとやっぱり危機です。
そして、学びたくても学べない境遇にいる同年代の方々を思うと自分を腹立たしく思います。

制服がね、まるで鉛のように重いです。
押し潰されてしまいそう。

学校に行かない(足が震える、声が出ない、吐く等)理由が明確では無い為に、余計に面倒。

まぁ、思い当たる節が全く無い訳では無いですが…。
けれど、それを解決する気には到底なれないんです。
自分独りで解決出来るものでは無いですし、した所でもう今更です。



あぁ…
明日はちゃんと学校行けますように。