池井戸潤 『下町ロケット』 | 映画な日々。読書な日々。

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下町ロケット/池井戸 潤
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取引先大企業「来月末までで取引終了にしてくれ」メインバンク「そもそも会社の存続が無理」ライバル大手企業「特許侵害で訴えたら、…どれだけ耐えられる?」帝国重工「子会社にしてしまえば技術も特許も自由に使える」―佃製作所、まさに崖っプチ。


最近、池井戸さんの作品を読みすぎていて、「ストーリー展開が結構パターン化してるな」という気がしないでもありませんでしたが、それでも面白いと思える作品でした。


元ロケットエンジンの研究者だった佃航平は打ち上げ失敗の責任を取って研究者の道を辞し、今は親の会社を継ぎ、従業員200人の小さな会社、佃製作所を経営していた。


しかし大手取引先からの突然の取引終了、さらにライバル会社・ナカシマ工業から特許侵害で訴えられ、法廷闘争に巻き込まれる佃製作所は、資金繰りも悪化し、会社存亡に危機に立たされる。


そんな中、佃製作所が取得した水素エンジン絡みの特許が、日本を代表する大企業、帝国重工に大打撃を与えていた。


このお話の軸になっているのは「特許技術」と、大手企業と中小企業の闘い。


下請いじめから始まり、銀行からの融資難による資金繰り難、ライバルの大手会社からの不当な訴え。

さらに取得した特許を巡る超大手企業との闘い。


このお話を読むと、中小企業を経営することの大変さがよくわかります。

そして立場が弱いということも。


けれども夢を追う佃の決断はカッコイイ。

楽な道を選ぶのではなく、自分たちのあるべき道を、自分の夢を追いかける。

また佃の闘いは大手企業とだけではありません。

佃の決断を快く思わない社員たちとの確執、経営者としての苦悩もある。


それでもプライドを持って真剣にモノづくりをしているからこそ、伝わるものがある。

一丸となった佃製作所の社員達は最強です。

本当いい仕事をしてるんだな、と。


ストーリー展開はちょっとご都合主義的なところも多いし、展開が読めてしまったり、途中それはないだろーと思うところもあったりしたのですが、それでもどんどん先が気になってしまうのは、池井戸さんの読ませる力なのだと思います。


★★★☆