- 東京公園 (新潮文庫)/小路 幸也
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「幼い娘と公園に出かける妻を尾行して、写真を撮ってほしい」―くつろぐ親子の写真を撮ることを趣味にしている大学生の圭司は、ある日偶然出会った男から奇妙な頼み事をされる。バイト感覚で引き受けた圭司だが、いつのまにかファインダーを通して、話したこともない美しい被写体に恋をしている自分に気づく…。すれ違ったり、ぶつかったり、絡まったりしながらも暖かい光を浴びて芽吹く、柔らかな恋の物語。
相変わらず小路さんの書く本は温かくて優しい。
特別大きな事件が起きるわけではないけれども、こういうお話好きです。
カメラマンだった母が遺したニコンの一眼レフカメラ。
そのカメラで初めて撮った家族の写真。
そして僕は家族写真を撮るようになった。
カメラマンを目指す大学生の圭司は、時間があれば東京中の公園に出向いて家族写真を撮っていた。
圭司はある日偶然出会った会社員の男性、初島から、公園に通う妻を備考しカメラで隠し撮りして欲しいという依頼を受ける。軽い気持ちでバイト感覚で引き受けた圭司だったが、その妻を撮影し続けるうちに自分の中にある感情が芽生え始めるのを感じる。
まず、圭司のキャラクターがいいです。
人が良さそうで、爽やかで、こういう人って誰からも好かれるタイプなんだよね~。
優しすぎて自分の彼氏とかだったらちょっと不安になったりしそうだけど。
圭司がカメラ構えてる姿とか様になるんだろうな~と想像しながら読みました。
そして登場人物も嫌な人が一人も出てきません。
これ、小路さんの作品の特徴かもしれない。
初島さんの依頼で、初島さんの妻と娘が公園に行っているのを尾行し隠し撮りすることになった圭司。
というわけで、東京にある有名な沢山の公園が登場します。
行ったことあるところもあれば知らないところも。
どういう公園なのかを軽く説明してくれているので、東京の公園を知る上でもいいかもしれない。
何故初島さんの妻が天気のいい日にいつも公園に行くのか。
圭司が初島さんの妻に抱き始めた感情。
一言も言葉を交わさない初島さんの妻と圭司の距離感が私は好きです。
さらに言うなら血のつながりのない姉との距離感、
ちょっとおせっかいな圭司の幼馴染で元カノの富永との距離感、
親友で同居人のヒロとの距離感。
圭司と周りの人たちの距離感がみんななんだかとてもいい感じなんですよね。
きっとそれは圭司の人柄からくるもの。
また富永が言う、「みんなが、幸せになれる方向へ」
という言葉がとても心に響きました。
これ、今映画公開してたんですね~。
読んだ後に知りました。
三浦春馬が圭司役というの、イメージぴったり。
DVDになったら映画も観てみようと思います♪
★★★☆