乙一 『箱庭図書館』 | 映画な日々。読書な日々。

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箱庭図書館/乙一
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少年が小説家になった理由。コンビニ強盗との奇妙な共同作業。ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語。


久しぶりの乙一作品。

『銃とチョコレート』 以来です。

というかこのブログに銃とチョコレートしかレビューがないから、私が乙一作品を沢山読んでたのって、6年以上前だったのね~。


今回の箱庭図書館は、読者の方のボツ作品を送ってもらい、それを乙一がリメイクするという「オツイチ再生工場」という企画から生まれたんだそうです。


どうりで。

読みながら、なんか乙一の作品とはちょっと違うと思ったんですよね。


6つの短編集となっています。

すべて舞台となる街は同じ。

“物語を紡ぐ町”と言われる文善寺町という街を舞台に6つのお話が繰り広げられます。

6作品に共通して登場する人物の存在が個人的にわりと好き。


小説家のつくり方

少年が小説家になった理由。

あら、なかなかいい話じゃない!と思ったら、ちゃーんとオチが用意されてました。

活字中毒者の指摘は鋭い。


コンビニ日和!

コンビニ強盗と店員の奇妙なやりとり。

島中さんの先輩に対する態度がわりと面白かったのですが、なんだか強盗が中途半端というか、強盗の理由に説得力が欠けてて若干イマイチだったかも。


青春絶縁体03

文芸部に所属する小山雨季子先輩と僕。

クラスに友達がいない僕は常に文芸部の部室に入り浸り・・・。

これは結構イタイ。

主人公の僕もイタイけど、先輩もイタイ。

けど二人の毒舌のやりとりはなかなか面白かったです。


ワンダーランド

拾った鍵に合う鍵穴を探す冒険に出た僕が遭遇したある事件。

6作品の中で唯一ミステリー色のあった作品。

だけどせっかく鍵に合う鍵穴を見つける冒険から始まったんだから、もっとワクワクする話になってもよかったんじゃないかと。

あとはラストの後味が結構悪かったんですよね。なんかぞっとする。


王国の旗

ふとしたきっかけで子供たちだけの楽園である王国に紛れ込んだ私。

これはなんだか不思議なお話。

ファンタジーっぽい話ではあるんだけど、妙にブラックな感じであまり好きな雰囲気ではなかったかな。


ホワイト・ステップ

これは6作品の中でダントツによかった!!

一番乙一っぽさが出てた作品でもあると思います。

すごく不思議なお話ではあるんだけど、雪面でのやり取りがなんだか素敵だったし、

温かさと切なさ、そして爽やかさがあって良かったです。


ちなみに元になった作品はこちら★ で読むことができます。


★★★