有川浩 『阪急電車』 | 映画な日々。読書な日々。

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阪急電車 (幻冬舎文庫)/有川 浩
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恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車……関西のローカル線を舞台に繰り広げられる、片道わずか15分の胸キュン物語。


面白かったです。

図書館戦争的な少女漫画っぽい恋愛が綴られてたりするのですが、こういう恋愛バナが詰まったお話、結構私好きです。


ただ、すぐに読み終わる代わりにちょっと軽かったりもするので

正直ダメな人はダメだろうなぁと思ったりもする作品。


片道わずか8駅15分のローカル線・阪急今津線に乗り合わせる乗客たちの連作短編。


図書館で見かける女性と電車の中で隣り合わせになった征志。

婚約者を同期の女に寝とられ、討ち入りしてきた翔子。

孫と電車で出かける老婦人。

DVの彼氏との別れを決意したミサ。

電車内で偶然出会った同じ大学に通う圭一と美帆。

馬鹿な社会人と付き合っている女子高生・悦子。

非常識な奥様グループの付き合いに辟易しつつも、グループから抜ける勇気がない康江。


電車の中での人と人との出会い、恋の始まり、別れ。

正直、それはあり得ないでしょー的な展開が繰り広げられたりもするのですが、

あくまでもフィクションと考えて読めば楽しめます。


映画では翔子が主人公みたいですね。

確かにこの原作でも翔子の登場が一番多いですし。


本当に翔子の元婚約者と、寝取った同期の女みたいな人がいたらかなり驚きですけど。

好きになっちゃったんだから仕方ないと言われればそうなのかもしれないですが、この物語はそこまでの二人の関係が描かれるわけではないから、ただただびっくり。そりゃ討ち入りもしたくなるわ。

討ち入りする価値もないような奴らですけどね。


この物語のように電車の中で乗り合わせた人と会話することなんてはっきり言ってない。

電車の中でのカップルの会話を詳細に聞きとることも多分普通は無理ですよね。

そもそも電車の音より大きな声で話してる人たちなんてほとんどいないし、満員電車でなければ、会話を聞き取れるほど近くにいることもないし。


だけどそこは小説。

フィクションの世界ですから、こんな出会いがあっても良いのではないか?

こうやって人生の機微を味わうのもいいんじゃないか?と思って微笑ましく読んでました。


ちなみに、私は電車の中ではないですが、試写会の列に並んで待ってる時や、ファーストフードに一人で入ってる時はわりと他の人の会話聞いてることも。というかあまりにも近すぎて勝手に耳に入ってきちゃうんですよね。


試写会に手をつないで並んでいる男女が敬語で話してるのを聞きながら、なんで彼らは敬語なんだ?と疑問に思ったり、ファーストフードで恋ハナを繰り広げてる女子高生を微笑ましく思ったりしてる私は、この小説の登場人物、と一緒じゃないか!と思ったりもして。


個人的には折り返した後の圭一と美帆カップルに胸キュン。

あとは女子高生悦子の馬鹿な彼氏の優しさにも胸キュン。

非常識なオバサングループは、ここまでひどくないにしてもたまに電車で騒いでうるさいオバサン集団を思い出したりも。


なんだか自分も阪急今津線に乗り合わせてるような気分に浸りながら読んでしまいました。


ただ十分楽しんで読んではいたのですが、せっかく電車を折り返しにして、引き続き彼らの話が展開されるのだから、カップルの話なんかは往路とは別の人物が語りになってたらさらに面白くなってかも、と思ったりも。


また私は関西に住んだことどころか行ったことすらないので、この阪急電車が全然わかりませんが、土地勘のある人だったら私以上に楽しめたんだろなぁと思うとちょっと羨ましいです。


そして本を読みながら、これは映像化にぴったりの作品だな、と。

何せ映像化された情景、読みながら目に浮かびましたから。映画も是非観たいと思います♪


★★★★