『NINE』 @TOHOシネマズ六本木ヒルズ | 映画な日々。読書な日々。

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1964年のイタリア。スランプ中の映画監督、グイド・コンティーニにとって、妻のルイザだけが心のよりどころだった。ところが、妻以外にも愛人カルラや主演女優のクローディアなど美しい女たちに囲まれているグイドは、愛とプレッシャーとのはざまで幻想の世界へと陥っていく。[上映時間:118分]


青の洞窟のブロガーパーティ でTOHOシネマズ六本木ヒルズのレイトショーのチケットをいただいたので、公開初日に鑑賞してきました。


この映画、出演者が豪華だったのでいろんな意味で興味がありました。

他のブロガーさんたちと一緒に鑑賞したのですが、鑑賞後、みんな「???」という感じ。「映画な日々。読書な日々。」的にはどうなの?と聞かれましたがうーん。この映画って万人受けするタイプではなく、かなり好みが分かれるんだと思います。ストーリーを追う映画ではないので、ミュージカル好きな人とか、フェリーニの映画が好きな人とかだと「超いい!」となるのではないかと。こういう出演者が豪華すぎる映画は期待が大きくなってしまう分、難しいですよね。


スランプに陥った天才映画監督・グイド。

新作の企画があるのに、脚本が1ページも書けない。


そんなグイドの周りにいる彼に夢中の女性たち。

彼女達が次々に歌って踊っていきます。

幻想と現実を行き来する展開になっているのでちょっとわかりにくいかも。


はっきり言ってストーリーはたいしてないです。というか薄っぺらい。


映画の制作は始まっているのに、脚本すらない。構想すら浮かばない。そしてグイドは都合よく妻を頼り、愛人との情事に溺れ、記者会見だけではなく映画製作の現場からも逃げる始末。


グイドは現実の世界で妻や愛人に甘えるだけではなく、幻想の世界でも妻、愛人、母親、人気主演女優etc・・・ひたすらまわりの女性たちに甘えて逃げて逃げて逃げまくります。追い詰められたグイドの周りに次々と現れる女性たち。


その幻想の世界がセクシーなミュージカルで展開されます。女優陣がエロティックな見事なダンスシーンを披露。個人的にはケイト・ハドソンの「♪シネマ イタリア~ノ」が一番印象深かったです。歌も耳に残るしね。女優陣のミュージカルシーンは本当華やかすぎるぐらい華やかで、グイドを沢山の愛で優しく包んでいるような感じがありました。個人的にはグイドの妻・ルイザ役のマリオン・コティヤールが可愛くて好きでしたが、愛人役のベネロペのエロティックな感じもかなり良かったです。ニコール・キッドマンは相変わらず綺麗だったけど、出番が少なめだったこともあってかちょっと印象薄め。ソフィーア・ローレンはさすがの貫録。


ただレイトショーで寝ちゃうかもという心配をよそに一睡もせず鑑賞したものの、最初から最後まで監督の「妄想」を永遠と見させられている感が否めなかったです。


グイドという元天才監督は、欲望のまま節操なく沢山の女たちに甘えたいだけ甘え、口からでるのは嘘ばかり。「天才監督」というのは過去の栄光、映画を撮れない今はその称号は彼にとってはただの重荷でしかない。


この映画ではグイドが何故映画が撮れなくなったのか、とか、グイドの撮れない苦悩については全く描かれず、ただ現実逃避して女を求める姿しか描かれていないので、正直女性には共感しづらい部分があるかもしれません。


そして映画を捨て、彼の前から彼女達もいなくなり、栄光も欲望もすべてを失った時、彼はやっと再生の道を歩み始める。


ってなストーリーですが、ストーリーを追うだけだとこの映画楽しめないと思います。多分、豪華な俳優陣の歌と踊りを”目”で見て楽しむ、そんな映画なんだと思います。


ストーリーで共感できたのはルイザが自分が大切にしてたグイドからの同じ言葉を、他の女優にも言っていたと知ってショックを受けるシーン。あれはかなり切ない。


この映画、フェリーニの「8 1/2」が元となっているようなのですが、「8 1/2」も観たことないし、映画の中にもフェリーニの作品のオマージュが沢山あるようなのですが、それも観てないから何もピンとこないんですよね。フェリーニの作品のファンだったらもっと違う印象だったのかもしれません。


せっかく豪華キャストの共演だったんだから、一緒に歌って踊るシーンがあればうれしかったのですが、残念ながら一人一人自分のパートを歌うだけだったのがちょっと残念というかもったいなかった気もしました。


ミュージカルファンにはおすすめだけど、万人にお勧めできる映画ではないので、出演者の豪華さに期待しすぎるのは禁物。


★★☆