高校時代に天才ランナーと呼ばれながらも、事件を起こして陸上から遠ざかっていたカケル。ひざの故障で陸上の道をあきらめた元エリートランナーにして、寛政大学陸上競技部のリーダーでもあるハイジは、そんなカケルを陸上競技部にスカウトし、ひそかに抱き続けていた箱根駅伝出場の夢を実現させようとする。[上映時間:133分]
三浦しをんさんの同名小説の映画化。
これ、原作がすっごくよかったんですよね。原作レビューはこちら★ です。ストーリーは原作と変えていないので、その辺はちょっと飛ばしますね。
配役はイメージに結構合っていたと思います。ジョータとジョージの双子については、双子俳優なんてそんないないから必然的に斉藤兄弟になってしまいましたけどね。
概ね原作に忠実に描かれていたとは思いますが、原作はかなり長いので、映画は2時間に纏めるために結構端折ってました。特にアオタケのみんながマラソンを真剣に始めるまでが超早い。本当はド素人の彼らが箱根を真剣に目指すまでが原作は結構長かったし、王子に至ってはもっと全然走れなかったはずなんですよ。まぁその分、原作ではダラダラした感じもあったんですけどね。
ただ端折ってしまった分、映画はトントン拍子でいろんなことが上手く行き過ぎてしまっている感は否めなかったです。時間的に端折るしかなかったのだとは思いますが、いくらなんでもあれじゃあ素人でも簡単に箱根目指せると勘違いしちゃいそう。
それにしても林遣都君って本当に運動神経いいんですね。
今までも「バッテリー」「ダイブ!」「ラブファイト」と運動モノで頑張っていましたが、この映画での走りもすごく綺麗でした。あまりにもフォームが綺麗で驚いちゃいました。
私が観た日は監督の舞台挨拶があったのですが、撮影時のエピソードとして、林君が本当にカケルと同じように走ることに夢中になってしまうせいで、車がスピードを出す前にすごいスピードで走っていってしまうから、カメラが追いつかないことがよくあったと言っていました。林君のあの走りは、演技ではなく、カケルと同化した走りだったのかもしれません。それだけに原作を読んで初めて知った「ゾーン」について語られてなかったのはちょっと残念だったかな。あそこ、カケルの走りで重要だったと思うんですけどね。
小出君も、人のいいハイジにぴったり合ってました。本当爽やかです。走りは正直イマイチで高校生の時にすごいランナーだったという雰囲気は全く感じられませんでしたが・・・。まぁその辺は差し引いても、ハイジのイメージ通りでハマリ役。ハイジの”人間力”が十分に伝わってきました。
ハイジとカケル、ユキ以外は走ることに関しては素人同然のアオタケのメンバー。たった半年で箱根を目指すなんて正直無謀だし、非現実的。
それでもハイジは諦めず、この10人で箱根を走ろうとします。管理人兼食事係兼監督兼選手を一手に引き受けるハイジ。そんなハイジの夢だからこそ、一緒に叶えたいと頑張るアオタケの住民達。このアオタケの10人の絆が本当に良かったです。みんないいヤツで応援したくなっちゃうんですよね。
そして箱根駅伝。
やっぱり箱根駅伝って感動だ。映画なのに、私なんて原作読んでて展開もわかってるのに、それでも感動しちゃった。ガンバレって応援しちゃった。そして神童のシーンはね、思わず泣きそうになりましたよ。危ない、危ない。
才能は生まれもったものだからどうすることもできない。だけど努力なら頑張ろうと思えばできる。長距離選手は、その努力で才能をも超えることができる可能性を秘めている。そして間違いなく、この10人は走ることで「強く」なった。みんな一緒に「強く」なった。彼らの努力と絆がよかったです。
どうしても時間が足りなくて、それぞれのキャラクターについても描ききれていない部分があったのが残念ではありましたが、それでも2時間ちょっとに上手くまとまっていたのではないかな、と思います。爽やかな映画で、きっと走りたくなるはず。箱根駅伝が待ち遠しくなるはず。
試写会(@よみうりホール)にて鑑賞
★★★☆