『ホノカアボーイ』@ユナイテッドシネマとしまえん | 映画な日々。読書な日々。

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映画な日々。読書な日々。-ホノカアボーイ

ハワイ島の北、ホノカア。ここでは月に虹がかかるとき、願いが叶うという…。恋人に振られ、大学を休学したレオは、とにかく日本を離れ、ただ違う風景の中にいたかった。そして、ひょんなことからホノカアの映画館で映写技師として働くことに。レオが初めてこの町にやってきたのは半年前。見た者に最高の祝福をくれると言われる“月の虹【ムーンボー】”を探し求めて、恋人と一緒にハワイ島に。しかし“月の虹【ムーンボー】”は見られず、かわりに道に迷って辿り着いた町がホノカアだった。不思議な魅力に吸い寄せられるように再びやってきたこの町でレオが出会ったのは、風変わりだけど優しい人たち…。出会い、恋、ごはん、そして別れ。レオが大人になるために必要なもの。そのすべてがホノカアにはあった…。[上映時間:111分]


のんびり、そしてほのぼのとしていてよかったです。そして天然コケッコーの舞台挨拶の時に目をつけた岡田君もこの役ぴったりだったなぁ。


月に虹がかかる時願いが叶うと言われている、ハワイ島北部にあるホノカアに恋人と旅行に来たレオ。しかし月の虹を見るどころか、道に迷い、食事にもありつけず、彼女の機嫌は悪くなる一方。ともかく旅行中の二人の中は最悪で、結局レオは恋人に振られてしまう。その後、大学を休学したレオは再びホノカアにやってきて、この街にある映画館で映写技師として働くことになる。


再びレオを迎え入れてくれたのはホノカアの風変わりだけれどもとても優しい人たちだった。映画館の食いしん坊な女主人・エデリ、日本のエロ本を欲しがる日系の老人・コイチ、無口な映写技師・バズ、いつも変な髪形に仕上げてくれるバーバーのみずえ、そして映画館の入り口で売っているマサラダを作ってくれている、いたずら好きで料理上手のおばあちゃん・ビーさん。


レオはエデリに頼まれビーさんの家に荷物を届けに行き、台所で煮物を勝手につまみ食いをした時、ビーさんのゴム鉄砲が飛んでくる。それからレオがろくなものを食べていないと知ったビーさんは、レオに毎日ご飯を食べにくるようにと言い、それから毎日レオはビーさんの手作り料理をご馳走になることになる。


ともかくゆったりと時間が流れてくようで、とても癒される映画でした。ホノカアはお年寄りの多い街で、レオのような若者はほとんどいない。レオの何倍もの人生を歩んできた、言わば人生の先輩たちばかりの街。そこでレオはみんなから可愛がられ、そして人生を教えられていきます。


この映画、蒼井優も出るからと楽しみにしていたのですが、今回の蒼井優、嫌な彼女の役でした。でもやっぱり上手いなぁ。日本でレオが彼女とどういう付き合いをしていたのか、レオがどういう子なのか、どうして大学を休学してまでホノカアにやってきたのか、それが蒼井優の機嫌の悪い演技で分かるんですよね。


この映画、ビーさんとレオの交流がなんとも言えずよかったです。ビーさんのおちゃめなこと。ビーさん役は倍賞千恵子で正直全然可愛くないんですけどね、でもなんか言動が可愛いんですよ。ストローで上からジュースこぼしてみたり、ゴム鉄砲作ってみたり、そしてレオに食べさせる料理を作るときのうれしそうなこと。ワンピースまで買っちゃうんだから、女は何歳になっても乙女心があるってことですよね。ついつい嫉妬しちゃうところなんかも、やっぱり女なんだなーって思っちゃった。


そしてレオがそんなビーさんの気持ちには全く気づかない所もなんかリアルだったんですよね。男って鈍感なんだよ。ビーさんがレオの為に一生懸命になってるのに全然気づかないの。でもそんな鈍感だけど純粋な青年役が岡田君にぴったりでした。


ビーさんの料理は本当おいしそうで、またレオが撮るその料理の写真もなんだかとてもいいんですよ。そしてその料理をおいしそうに食べるレオ。あんなおいしそうに食べてくれたら、そりゃあうれしくて毎日作っちゃう気持ちもわかる。ビーさんみたいに料理が得意だったら尚更だっただろうなぁ。


ただね、レオが恋人に振られるのもわかっちゃったんだよね。確かにレオはいい子だけど、優しいけど、なんか優柔不断というか自分の意志が弱いというか、ただ流されてるだけ、みたいな感じがね、ちょっと頼りない。冒頭で蒼井優演じるカオルにああいう態度取られちゃうのも正直わからなくないんですよ。再びホノカアに来てもそれは全然変わってなくて。だけどあることをきっかけにレオも少しずつ変わっていき、自分の意志で決めるということができるようになっていきます。それはこの街に住む大先輩のお年寄り達のおかげだったのかな。


お年寄りと言えば、「同性愛」Tシャツを着た87歳のおじいちゃん、コイチがエロいけどおちゃめでした。ビーさんがいつまで経っても乙女であったように、コイチも何歳になっても男なんですねぇ。死んでもエロイいたずらしちゃうんだから、まったく!という感じですよ。


あとは深津絵里がこれまたハマリ役でしたね。「私ウザイよね」っていうのが本当面白かったです。


そして甘いもの好きの人はみんな思ったと思うけど、ビーさんが作る砂糖たっぷりのマラサダが本当おいしそうで食べたくなりました。マサラダはハワイで大人気の揚げドーナツに砂糖をまぶしたお菓子だそうです。このマサラダを食べにブログ女3人組が出てくるんですが、なんかブロガーをバカにされた感じでここはちょっと感じ悪かったです。もっとブロガーをもっといいイメージで描いて欲しかったなぁ。


この映画、ちょっとした事件はあるんですが、それでも終始ゆったりした温かい空気が流れていて、すごく癒されました。こういう何もない自然でのどかな街って好き。こういう所でのんびり生活したら心が洗われそうだな、と思いました。機会があれば一度行ってみたいですね、こういうところ。ムーンボーとか本当に見られるのかなぁ。


それから後から知ったのですが、マライヤの恋人役はこの映画の原作者の吉田玲雄さんなんだそうです。ホノカアボーイって、吉田玲雄さんの実体験を綴ったものなんだよね。なんか岡田君と吉田玲雄さんがちょっと結びつかなくて、レオは私の中で完全に岡田君だったから、レビュー書きながらちょっと違和感抱いてしまいました。でも本当にレオのような体験をしていたんだと思うと素敵です。


ユナイテッドシネマとしまえんにて鑑賞


★★★☆