『マリと子犬の物語』 試写会鑑賞 | 映画な日々。読書な日々。

映画な日々。読書な日々。

読書、子育て、コスメ、グルメ情報等を中心に更新しています。

マリと子犬の物語

新潟県山古志村に住む仲良し兄妹、亮太と彩。母親は病気で亡くなり、父親と祖父の4人家族だった。ある日、彩は原っぱで捨て犬を拾う。父親が犬嫌いのため、一度は諦めようとするが、彩はひとりぼっちの子犬を見捨てる事ができない。父親も彩の優しい心に負け、一家で飼う事になった。マリと名づけられた子犬はすくすくと成長し、ある日、子犬を3匹産んだ。家族が増えて彩と亮太は大喜び。そんな時、山古志村を悲劇が襲った…。[上映時間:124分]


2004年10月23日に起きた新潟県中越地震の時、失意の底にいた人々を勇気づけた奇跡のエピソードを映画化した作品です。


タイトルにある”マリ”ですが、最初映画を観始めた時は、子役の女の子がマリなんだと思っていたのですが、お兄ちゃんから呼ばれた名前は”アヤ”。あれ?じゃあマリは誰?と思ったら、冒頭シーンで出てきた子犬がマリでした。


新潟県山古志村で暮らす石川家の子ども・亮太と彩は仲良しの兄妹。二人は仲良くしりとりしながら帰宅途中、捨てられた子犬を見つける。彩はその犬を家に連れて帰りたがるが、父親が大の犬嫌いだから飼う事はできないと、その子犬を置いて去った二人。しかし子犬はちょこちょこ二人の後をついてくる。振り返れば立ち止まり、また歩き出せば追いかけてくる。そんなかわいい子犬を見捨てることができなかった亮太と彩は、おじいちゃんを巻き込みながら、なんとかその犬を飼うことに成功する。二人はその子犬を”マリ”と名づけた。


そしてマリは成長し、やがて3匹の子犬を産む。また家族が増えて喜ぶ石川家。しかし10月23日、山古志村に悲劇が襲う。新潟県中越地震発生。


家にいた彩とおじいちゃんは倒壊した家屋の下敷きになり、仕事で山古志を離れていた父と小学校に行っていた亮太は避難所で家族の無事を祈るしかなかった。


やがて自衛隊の救助がやってきて、助け出された彩とおじいちゃん。村人達は次々と自衛隊の救助ヘリで非難するが、人命優先の状況下で、彩たちを助けようとしてくれたマリと子犬は山古志に置き去りにせざるを得なかった。食べ物もなく、余震の続く山越に取り残されたマリは、必死にわが子を守り続ける。彩はマリを置き去りにしたことを悔やみ、心配し、そして次に嵐がやってきたら村は潰れてしまうという話を聞いた彩は、マリを助けに行くことを決意する。


冒頭、彩と亮太がマリと出会う穏やかなシーンから一変、地震のすさまじさには目を覆いたくなりました。ずっと東京に住んでいる私は、避難しなくてはいけないような大きな地震を経験したことがありません。新潟中越地震が発生した時も、新聞やテレビで地震が起きた後の映像を見て、すごい地震だったんだ、ということは思っても、実際地震が起きた時の状況を目にしたわけではなかったので、その悲惨さは全然わかっていませんでした。


この映画で地震が起きた時の映像を観て、地震は怖いものなんだということがやっとわかりました。多分実際はこの映画よりももっとひどかったんだと思います。地震が発生した後、そのことにきちんと気づけていなかった自分が恥ずかしいです。


自分の家が地震でめちゃくちゃになってしまったとわかっていてもなお、村に戻りたいと願う人々。避難所で助け合いながら生活する村の人々。そして大好きなマリと子犬を心配する彩と亮太。


ともかくこの映画はマリと子役の二人の演技に脱帽でした。


彩と亮太を演じた子役・佐々木麻緒ちゃんと広田亮平君の演技がすばらしいです。この二人、涙そうそうにも出てましたよね。亡くなった母に彩のことを託された亮太は、自分だってまだ小さいのに、必死で彩を守ろうとします。広田亮平君の優しい演技がとても光ってました。

佐々木麻緒ちゃんは、マリが本当に大好きなのがすごく伝わってきたし、ヘリコプターからマリーと叫ぶシーンや、お兄ちゃんにもう誰かが死ぬのは嫌だ、マリを助けに行きたいと訴えるシーンの演技はすばらしかったです。


そして何よりすばらしい演技だったのは犬のマリ。

彩とマリの出会いのシーン、子犬だったマリはめちゃくちゃかわいいです。私は犬好きなわけではないし、犬を飼ったこともありませんが、マリは本当にかわいくて、マリみたいな犬だったら飼いたいかも、と思いました。

他の映画やドラマを観ていつも思うのですが、動物はどうしてこんなすばらしい演技ができるのでしょうか。瓦礫の下敷きになった彩たちを助けようと必死になるマリ、彩の乗るヘリコプターを必死で追いかけるマリ、ボロボロになりながら子犬たちを必死で守ろうとするマリ。マリの演技が本当にすごくて、マリに感動させられる部分がほとんどでした。犬って本当すごい。


家族の絆、山古志村の人々の絆、そして人間と犬との絆。

家族を思い、村の仲間を思い、犬が人間を思い、人間が犬を思う。辛い時、困った時に助け合うことができる仲間のすばらしさ、そして絆の深さは本当にすばらしいな、と思いました。


この実在するマリの様子を綴ったブログ「山古志村のマリと三匹の子犬のブログ 」で、マリの様子が見れます。多くの人を勇気付け、そして感動させたマリは今も元気でいるようです。


試写会(@よみうりホール)にて鑑賞


★★★