荻原浩 『押入れのちよ』 | 映画な日々。読書な日々。

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荻原 浩
押入れのちよ

今ならこの物件、かわいい女の子(14歳・明治生まれ)がついてきます…。幽霊とサラリーマンの奇妙な同居を描いた表題作ほか、「木下闇」「殺意のレシピ」「介護の鬼」など全9話を収録した、ぞくりと切ない傑作短編集。


荻原浩の短編を読むのは初めてです。

この本はホラーを中心としているようですが、そんなに怖い話があるわけではなく、心温まる話もあり、ちょっとゾクっとする話もあり、ちょっとブラックな話もあり。

この短編集、よく考えたら結構なんでもありで、テイストの違う作品が集まっているんですね。レトロな感じで朱川湊人っぽい感じのする作品もありました。


9話ある中で一番良かったのは表題作の「押入れのちよ」

築35年、家賃3万3千円のぼろアパートに引っ越しをした恵太。しかし部屋には明治39年生まれ、14歳の女の子”ちよ”がいた。

恵太とちよの会話がおもしろいです。そして途中せつなくさせておいて、、、結構上手い展開でした。ともかくちよがかわいかったです。


真夜中にやってきたしんちゃんの自転車に乗せてもらってこっそり遊びに行くお話、「しんちゃんの自転車」はちょっぴりせつなかったです。


「お母さまのロシアのスープ」は謎めいた感じでしたが、最後にそういうことだったのね、と最後までオチがわからなかった作品です。

「コール」の書き方はちょっと乙一っぽかったです。これもちょっと切ない。

「殺人のレシピ」「予期せぬ訪問者」はコメディタッチで笑えます。

「老婆」「木下闇」が一番ホラーっぽかったかな。

「介護の鬼」はブラックです。結構後味が悪い。


どの作品もそれなりに楽しめますが、正直これはおもしろい!といえるほどのお話ではないです。ホラーや怪談は荻原さんの得意分野ではないかなーと思いました。

でも短編でさらっと読めるので、荻原浩がホラーを書くとこうなるのか、という感じで読むとおもしろいと思います。


★★★