- 小手鞠 るい
- エンキョリレンアイ
十三年前の春、二人は書店で出会い、優しく切ない恋が始まった。切ない恋を抱えている人に。新しい恋を探している人に。東京とNY、海をこえてつながる純愛物語。
いい。すごくいい。
リアリティないけど、ドラマっぽいけど、ちょっと少女マンガっぽいけど、でもこういうの好き。
上戸彩が絶賛していたのがわかります。
私は遠距離恋愛はしたことないですが、すっかり自分が花音になったつもりで読んでしまいました。
京都の書店での運命的な出会い。
空港での再会。空港のシーンはすごくいい。海晴の台詞も海晴の行動も理想的なんですよ。なんか読んでてドキドキしてしまいました。
そしてはじまった海晴と花音とのエンキョリレンアイ。
東京とニューヨーク。どんなに遠く離れていても心はつながっている。
二人のやりとりはほとんどがパソコンのメール。しかも花音からのメールは一切書かれていなくて、すべて海晴からのメールなのも花音の気持になれていいです。
メールを待っているときの期待。
メールがきたときのうれしさ。
メールがこないときの淋しさ。
電話でもメールでも連絡が取れないときのどうしようもない不安。
あーーー、わかるーーー。
すごくわかる。
でも実はこの本、いろいろ出来すぎなんですよね。
二人が日本で会ったのはたったの2回。たった数分。そんな少しの時間で大恋愛になるなんてありえない!だけど本当にそういう運命みたいな出会いがあったらちょっと素敵という気持になってしまったんですよ。
他にもそんなのあるわけないじゃん、と思うシーンはいっぱい出てくるし、連絡が途絶てしまった時の設定も結構無理があったりしました。
でも逆にそのリアリティのなさがよかったのかもしれません。
こういう恋愛があって欲しい、という希望?
何せ私は花音の気持になって読んでいたもので。
それからこの本にはたくさんの素敵な台詞がでてきます。
その中でも心に響いた言葉がありました。
「怒りや悔しさに、パワーを与えてはいけない」
なんかいいです、この言葉。心に留めておこうと思いました。
私はラストは作者の意図とは違った解釈をしていました。既に本を読んだ方で作者の意図を知りたい方はここ に掲載されている小手鞠るいさんのインタービューを見てみてください。
ちなみにこの本をこれから読もうと思っている人は本を読んだ後に見てください。先に見てしまうと本を読む楽しみが半減してしまいそうなので。
私も9割の方と同じ見方をしていました。このインタビューを見た時、ああ、やっぱりそうだよね、という気持半分、このインタビューを読まなければよかったと思う気持半分。
解釈は読んだ人の自由だから必ずしも作者の意図と同じ必要はないと思うのですが、9割の人に誤解をさせるような書き方ってどうなんですかね。
私はこの本とても気に入りましたが、好き嫌いがはっきり分かれるんじゃないかな、と思います。
ちょっと恋がしたくなる一冊。
★★★★