昭和22年。福岡県でひとりの女の子が誕生した。お姫様のような人生を夢見る彼女の名は川尻松子。教師になり爽やかな同僚とイイ感じになるも、セクハラ教師のせいで辞職に追いやられる。ここから、松子の転落人生が坂を転がり落ちるがごとく、始まっていく。愛を求める松子の前にはさまざまな男が現れるが、彼女の選択はことごとく不幸へと繋がってしまうのだった。53歳、河川敷で死体となって発見された彼女の生涯を探る甥が見たものは?[上映時間:130分]
とてもおもしろかったです。下妻物語と同じ監督だけあって、作りも似ていました。
原作はもっと深刻なようですが、映画はミュージカルっぽい作りで笑えるシーンもかなり取り入れられているので、転落人生の話でもしんみりした感じはあまりなかったです。映像はカラフルかつコミカルで、歌と音楽がすごくよかったです。
映画は松子が殺されたところから始まります。
ちらしに松子の一生の年表が書かれていて、その年表どおりのことが起こるのですが、松子がどういう人生を歩むかはだいたいわかっているんです。
教師をクビになり、家を飛び出し、風俗嬢に。やがてヒモを殺し、刑務所へ・・・そして53歳、荒川の河川敷にて死体で発見される。
わからないのはなぜ、誰に殺されたのか?ということだけ。
普通に幸せを夢見る女の子だった松子。そんな松子にこれでもか、というぐらいの転落人生が待ち受けています。そんなはずじゃなかったのに。愛されたかっただけなのに。「なんでーーー」という人生です。
松子はちょっとおバカさん、そしてまっすぐなんですよね。周りからみたら男を見る目がないんですが、松子はそれでもその時はきっと幸せだったんです。
ラストはせつなく、そして温かかったです。
嫌われ松子は愛され松子だったんじゃないかな、と思える一生でした。
「嫌われ松子を演じるために、今まで女優の仕事を続けてきたのかもしれません」と言うだけあって、中谷美紀が熱演です。この映画では中島監督と中谷美紀の壮絶なバトルも有名ですね。
”毎日毎日「殺してやる」とか「役を降ろしてやる」とか、「何度やっても同じじゃねえか!」とか「女優辞めろ」とか言われ続けた”とのこと。ある意味凄い。
監督は下妻物語の時に深キョンともこんなバトルしてたのかがちょっと気になるところです。
そしてその他のキャストもとても豪華で楽しめました。
映画を観た後に、原作を読んだ友達と話をしたのですが、松子が死んだところから始まるところも、登場人物や、松子に起こる出来事などはほぼ原作どおりのようでした。ただ小説の方がもっと暗い感じみたいですね。今度読んでみます。
それから監督とのバトルを書いた中谷美紀のエッセイ「嫌われ松子の一年」も読みたいですね。
2時間10分とちょっと長めですが、とてもテンポがよいのであっという間でした。中谷美紀の変な顔もおもしろかったです。
試写会(@東京FMホール)にて鑑賞
★★★★