奥田英朗 『ガール』 | 映画な日々。読書な日々。

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奥田 英朗
ガール
30代。OL。文句ある?
きっとみんな焦ってるし、人生の半分はブルーだよ。既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても…。さ、いっちょ真面目に働きますか! キュートで強い、肚の据わったキャリアガールたちのお話を5つ、ご覧あれ。
《こんなお心あたりのある方に、よく効きます。》
●職場でナメられてる、と感じた
●親に結婚を急かされた
●若い後輩の肌つやに見とれた
●仕事で思わずたんかをきった
●ひとめぼれをした
●子どもの寝顔を見て、頑張ろうと思った

すごくおもしろかったです。30代の働く女性のお話5編。


「ヒロくん」は、30代半ばで課長の肩書きをもらい、年上の扱いにくい男の部下をもってしまった聖子のお話。突然の昇進で戸惑いつつも、女性管理職というポジションも悪くないと張り切る聖子。しかし部下全員とうまくやっていくことの大変さ、年上の扱いにくい部下との関係に時には弱気になり、平社員だった頃を懐かしむ。会社の馬鹿げた人事に「会社めー。」と食堂の机をたたいたり、フォローしない上司に抜擢したならフォローしろよ、と心の中でつぶやいたり。

そんな会社の男性陣とは正反対、男のメンツなんてことを言い出さない旦那のヒロくん。なんてナイスなパートナーという言葉がとても気に入りました。

女性管理職って難しいですよね。本当に実力があってなった管理職ならいいですが、実力が伴わないとただのハリキリウーマンになってしまうし。

聖子の潔さと強さにはちょっと感動。思わず応援したくなりました。


私が一番気に入ったお話「ワーキングマザー」。

シングルマザーで3年ぶりに営業部に復帰した孝子のお話。

キャリアウーマン風の販売部の里佳子にいやみを言われた時に「こっちには子供がいて、あんたみたいに若作りしている余裕はねえんだよ」と腹の中で言い返したりするところ、奥田さん、よくわかってるなぁと思いました。女の人ってこうやって心の中で叫ぶことよくありますよね。

「女は育児を持ち出せば、周囲がひれ伏すことを知っている。独身時代、そういう嫌な女を沢山見てきた。だから自分はそういう真似をしたくない。」

立派!!

孝子のプランを横取りした販売部の里佳子に対しても、言い過ぎたと自分から謝るところなんて、なんて人間としてできた人なんだろうとただただ関心です。

子供に教えるために、自分がこっそり逆上がりの練習したり、キャッチボールの練習したり、母親として頑張ってる姿も、ともかく何をとってもすばらしい。

孝子のような人がいたら本当憧れます。


その他、マンションを買おうと決意したゆかりのお話「マンション」。

まだまだイケていると思っていた自分がもう”ガール”ではなくなってしまったと気づいて凹みながらも、自分より年上でガールを続けているお光を見ているうちに”生涯一ガール”でいいと思えるようになった「ガール」。

ひと回り下のイケメン新人にときめく「ひと回り」、この気持わかるなぁ。


奥田さんはなんて女性の気持がわかってるんだろう、とびっくりしました。

どのお話もおもしろく、読み終わった後とても爽快な気分になれます。

働く女性は是非ご覧あれ。


★★★★☆