恩田陸 『ユージニア』 | 映画な日々。読書な日々。

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恩田 陸
ユージニア

2005/9/17 読了。


ある男の遺書によって解決をみたはずの事件。町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経て様々な証言によって暴かれてゆく。真実を話しているのは誰なのか-。『KADOKAWAミステリ』『本の旅人』連載の単行本化。


この本の作者の恩田さんは「登場人物は善なのか悪なのか、正常なのか異常なのか、わからない、というところを書きたかった」とおっしゃっていました。


インタビュー形式で話が進んでいきます。

宮部みゆきの『理由』をちょっと思い出しました。


こういうインタビュー形式ものの特徴なので仕方ないのですが、登場人物は多いし、語り手は代わるしで、この人誰だっけ?とちょっと混乱しながら読み続けました。

本を読むのが苦手な人には向かないかもしれないですね。


最初私は取材をしている人が誰なのか?と疑問を持ちながら読み進めました。

同じように取材して「忘れられた祝祭」という本が既に出版されてるけれど、どうやら「忘れられた祝祭」を出版した人がインタビューしているわけではなさそうだし、この人はいったい誰なのだろうか?と。


実に多くの人のインタビューが書かれているだけで、正直事件の謎に近づいているのかどうかすらわからない状況で章が進んでいきます。

そして、最初に思った「この人はいったい誰なのだろうか?」という疑問はかなり最後の方で解決されました。

作者の狙い通り、ずっとグレーゾーンで話が展開されていきます。

なかなか読み応えのある面白い作品でした。


ただこの本、装丁も内部のデザインもすごく凝っていて、ストーリー展開はインタビュー形式で、と凝ったことづくしなわりに、ラストが弱かったように思います。


それから、百日紅の謎解きの部分がイマイチよくわかりませんでした。

今度もう一度最初から読み直してみようと思います。


★★★