- マンガの国ニッポン―日本の大衆文化・視聴文化の可能性/ジャクリーヌ ベルント
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『マンガの国ニッポン』 ジャクリーヌ・ベルント
ドイツ人女性が書いたマンガを中心に据えた日本文化論です。ジャクリーヌ・ベルントの博士論文を修正してドイツで出版された版を、日本語に翻訳したのが本書です。
日本の銀行のATMで女性の画像が使われていたりするのを、日本ではATMにもマンガが使用されていると珍しがっている。
日本の大衆文化の歴史的考察をしている箇所で、日本は、経済が発展しても前近代的な村落的な慣習に人々が行動様式を拘束されている。企業の労働組合でも行動の一致が要求される、などの例をあげて。日本の大衆文化や消費社会は村落的な要素を強くもつと観察している。
東京でも町内会などが生き延びていて、都市に融合しているが、欧州などの先進国では都市にそういう前近代的な機能が抱え込まれることはないという。本当だろうか。
それから、日本人の「モラトリアム」という感性も欧州などの人間には理解不能だという。そういうモラトリアムの感性を表現したマンガに違和感を表明していた。
レディース・コミックなども紹介しているが、それらの箇所ではジャクリーヌ自身の意見はあまりなく他人の意見を紹介して、コメントする程度だったと思う。あまり思い出せませんが。
『マンガの国ニッポン』は完成度が高い。社会学的な論文作法や教養がジャクリーヌに身についているからでしょうね。
記事を新しく書き直しました。
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