どこかの時点で、論文だけでなく短答も再現することを強くオススメします。
当日、起床してから短答本試験終了まで、どのように行動し、考えたのかというプロセスを、問題文への書き込み等を参考に、できる限り具体的・詳細に再現してください。
これにより、短答で改善すべき点が見えやすくなり、来年の受験(司法試験受験生は、今年合格してしまうことがベストですが、念のため)対策をより的確に立てることができるようになるからです。

1.
特に、司法試験受験生は、今年の試験は全て終わっているのですから、再現答案作成が終わったら、記憶喚起しやすいできる限り早期に、心が折れない限度で短答再現をしてください。
これら論文・短答の再現を、他のどんな試験対策・勉強より優先してください。
論文・短答の再現が、あなたの個性・環境にジャストフィットした試験対策を立てる際の基礎情報となるからです。
論文・短答の再現をしないと、あなた個人が合格するために何が足りないのか、何をすべきかが全く分からず、的外れならまだしも、合格というゴールとは遠ざかる試験対策・勉強に走りかねないからです。

2.
他方、予備試験受験生には、論文式試験という次の試験がありますから、そもそも短答式試験の自己採点をすべきかどうか(自己採点をせずに、短答に合格したつもりで次の論文対策をした方が、もし短答不合格でも論文対策の効果を最大化できるのではないか)という点から悩みどころです。
昨年、私は、理論的には自己採点をすべきではないが、その理論を実践することは非常に難しい旨を書きました(記事「予備短答の自己採点)。実際にも、昨年私がコミュニケーションをとったほぼ全ての予備試験受験生が、短答合格発表前に自己採点をしていました。そのため今年は、実践できない理論を提示してもかえって精神的に負担となるだろう…と思い、予備短答の自己採点については特に記事にしなかったのです。
おそらく今年も、ほとんどの受験生が既に自己採点をしているでしょう(もしまだしていない方がいたら、今後自己採点をするかどうかは、記事「予備短答の自己採点」を参考にしてください)。

①どこかの予備校の解答速報で自己採点した結果、全科目合計で150点未満だった方…できる限り早期に、短答再現をすることをオススメします。
どんなに予備校の解答速報に誤りがあったとしても、点数が15点以上(一般教養科目でも3点×5問以上)アップする可能性は、さすがに限りなく0%に近いといわざるを得ません。そして、過去の予備短答で、合格点が165点未満になったことはありませんし、年々合格点が上がる傾向もやや見られます。
そのため、論文対策よりも、記憶が比較的残っているうちに短答再現をする方が、優先順位が高いと考えています。

②どこかの予備校の解答速報で自己採点した結果、全科目合計で150点以上だった方…次の論文式試験に向けて、論文対策をすることをオススメします。
予備短答に合格できるのか不安がある方、既に今年の予備短答合格を諦めてしまった方もいらっしゃると思いますが、この世は何が起こるか分かりません。予備校の解答速報が誤りだらけかもしれませんし、合格点が165点になる可能性も充分あります。
さて、
(a)予備短答の合格発表までに論文対策を(充分に)していない状態で、予備短答に合格していたときの気持ちを想像してみてください…やはり、後悔するのではないでしょうか。
他方、
(b)予備短答の合格発表まで論文対策に集中していて短答再現をしていなかったのに、予備短答に不合格だったときの気持ちを想像してみてください…「あ~短答再現しておいた方がよかった」と後悔することもあると思いますが、上記(a)の後悔とどちらが大きいでしょうか。客観的にも、予備短答の全科目合計で150点以上なら、短答対策にそう大きな問題がない場合がほとんどです。

抽象化すると、どの予備試験受験生も、今の時期に、
論文対策をせずに次の論文式試験に備えないのと、
短答再現をせずに来年の短答式試験に備えないのと、
どちらが後悔が小さいかを想像すると、適切な判断になりやすいのではないかと思います。

とはいえ、どうしても論文対策をする気になれないのに無理に論文対策をしても効率が悪いですし、逆にどうしても短答再現をする気になれないのに無理に短答再現をしても効率が悪いです。
自分の気持ちも含めた戦略的判断をしてくださいね。