“合格可能性”という概念を、最近よく使うようになってきたので、ここで確認しておきたい。


論文式試験で、

「最初から上位合格・高得点を狙って背伸びすると、足元をすくわれてこける。」

これは、旧司時代には、多くの受験生に共有されていた認識だと思う。


しかし、新司時代になってから、

「上位合格を目指して勉強していれば、(下位)合格するのは余裕だ。」

とか、

「上位合格を目指して勉強しないと、結局(下位)合格すらできない。」

のような、「大は小を兼ねる」系の言説を、色んなとこで見聞きした…最近はやや下火になってきた気もするが。


上位合格者の再現答案(があれば)見てみてほしい。

あなたは、これを、「制限時間内に、問題文と六法しか見られない状態で」書けるようになる自信がありますか?


…たいていの受験生は、自分をごまかしたりしなければ、「ない」と答えるはず。

だって、上位合格者っていうのは、超少数派だからね。

受験生のほとんどは、上位合格もできなければ、上位合格する自信もないのだ。

私ももちろん、そうだった。


で、それがどうした?

はっきり言って、上位合格する奴らなんて、「敵じゃない」。

目的はなんだ?

まずは合格だろ?

合格するには、上位合格者なんていう超マイノリティに勝つ必要は全くない。


「いや、上位合格しないと弁護士事務所に就職が…」「任官が…」

うん、その気持ちは分かるよ。

でも、そういう少数の弁護士事務所への就職や任官をするには、そもそも1発合格しないと土俵にすら乗らないよね?


だから、どの受験生でも、少なくとも第一次的な目的とすべきは、上位でも中位でも下位でも、とにかく合格なのだ。


とすると、上位合格を目的(GOAL)とするのは、少なくともずれている。

で、目的(GOAL)がずれると、それに至るための手段(ルート)もずれる。

これが、

「最初から上位合格・高得点を狙って背伸びすると、足元をすくわれてこける。」

原因だと思う。


まずは、とにかくギリギリでも合格しないと話にならない。

だから、まず確実にギリギリ合格できるように、ギリギリ合格可能性を上げていくべきだ。

私が、再現答案は、まずギリギリ合格あたりの答案を見てほしいというのは、こういう考え方に基づいている。


上位合格を目指していいのは、確実に合格できる域に達した受験生だけだ。

まあ、現実には、確実に合格できる域に達した時点で、超上位合格してしまうとは思うけどね。

とすると、結局、上位合格は、ギリギリ合格の延長上にあるといえる。