2014.8 三陸海岸北上 いまをみる 3日目 その1 | あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

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カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

岩手県、三陸海岸を北上する旅も3日目。

*2日目 その3~田老・現在地~はこちら

この日はさらに北へと向かい、少し内陸に入って、

海とは違う「青」に出会いに行く。


日本三大鍾乳洞のひとつにも数えられる、岩泉・龍泉洞

この暗く妖しげで広大な洞のなかに、マリンブルーともスカイブルーとも異なる

「ドラゴンブルー」なる青が存在するらしい。

その色を求めてやってきた。


三陸鉄道小本駅で下車したあと、バスに50分ほど揺られて

龍泉洞入口に着きました。小雨。

夏の一盛りを終えた木々の濃い匂いがして、山特有の冷やりとした空気が降りてくる。

洞内はもっと寒いはずなので、厚手のマフラーを首に巻きつけて。


お出迎えはこちら。






龍の恋人。











なんだかかわいらしい。

よく見ると、「恋人の聖地」と書いてあります。

…?なぜ鍾乳洞で恋人…?

その答えはのちほど…。


さて、洞内へと入ってみよう。

暗くなる視界に、纏わりつく冷気。

別世界へ入り込んだような感覚。

洞内気温は14.0℃と出ていたけど、もっと寒い気が…


洞内に入ると、洞窟に反響する環境音のざわめきと共に

水の流れる、カラカラという音が聴こえてきます。

毎秒1.5トンもの水が湧きだしているとか。

その水の音だけで、透明さが分かる。


百閒廊下」という、頭上を岩で閉ざされた、狭い通路のような空間を渡る。






龍の通り道。











断層に沿って形成された細い空間を道としていて、

逸話では「龍が通った跡」という伝承も残されています。

見上げると、水の流れの軌跡が見えるかのように

するりとした岩肌がなめらなか曲線を作っていて。

自然の織りなすアート。


これらの岩肌の造形を見ながらずーっと真っ直ぐ前へと進んでいくと、

途中途中にいくつか、その形から名が付いた鍾乳石を見ることができます。

その中でも、ひときわ異国情緒溢れていたのがこれ。






愛の女神。











洞穴ビーナス」と呼ばれる鍾乳石。

…えーっと…どこをどう見れば…

たぶん、光に照らされてすっくと立っている石のことなんだろうけど、

女神さまは心の曇った人には見えないのかもしれない…(笑)


洞内はいろいろな色の光に照らされて虹色に輝き、自然洞穴でありながら

ひとつのテーマパークみたいになっています。




七色洞穴。







LEDライトが七色に変化し、岩の細部までを鮮明に映し出す。

次元の狭間とか異世界とか、そういう言葉が似合いそう。


そんなこんなで洞内探検していると、やがて天井が高く、開けた空間に出ます。

ごつごつとした岩肌、鍾乳石の雰囲気が月の世界に似ていることから

月宮殿」と名付けられたこの空間。

名前がとても素敵。




月の内側。







月に行ったことはないけれど、確かにこんな空間が広がっているのかもしれない、

という想像が容易にできる場所。

どこかの音が、耳に和音になって響いてくる。

地上に降る雨が染み出して、岩肌を濡らす。


さて、「恋人の聖地」であることの証明が、ここでなされます。

この月宮殿、天井の一部分だけ岩が張り出していて

上手い角度から見ると、洞内の輪郭がハート型に見えるんだそうです。

…えーっと…どこをどう見れば…(2回目)

ひとりで来たから見えなかったのかもしれないな…笑


鍾乳石といえば、大瀑布が凍ったような、この垂れ流れる線。




悠久の時。







何百、何千万年とかけて造られる自然の造形。

地球の歴史と、今なお生きていることを感じられる。

10年以上かけてやっと1ミリ成長するという鍾乳石、

人間の時間の感覚とは別次元で生きている気がします。

人は自分の寿命から逆算してこの「1秒」という単位を生きているけど、

地球、あるいは宇宙は別の時を行く生命体なのかも。


月宮殿を抜けると、急に狭くアップダウンの激しい道へ。

階段を上り下りし、さらに龍泉洞の奥へと入っていく。

入口から、一般人の入れる最奥までは700mほど。


この奥に、龍泉洞の神秘、ドラゴンブルーが待っている。


現在公開されている3つの地底湖、その色。

水音が耳のすぐそばで反響する。

自分の足元のすぐ下を、深く青い流れが過る。






第一地底湖。















第二地底湖。










第三地底湖。






確かに、海とも空とも違う。

その青は、とても深く潜って。

石灰質を多く含んでいるからなのか、地球の底に眠る青が浮かび上がっているような。

何よりその水たちの透明度。フィルターなど何もないかのように、

水底へと続く湖の岩の壁がはっきりと見て取れる。

ドラゴンの瞳に見つめられているようで、吸い込まれそうになった。


この青はとても美しい。


第一地底湖は水深35m、第二地底湖は38m、第三地底湖は98mあります。

特に圧巻だったのは第三地底湖、この足下に深さ100mの巨大な水の器が

あるのかと思うと、足がすくむと同時に、深く深く潜ってみたくなる。

青色と同化してしまいそう。


地底湖の青い輝きを目に焼き付けて。

ドラゴンブルー」は、本当にあった。


*その2~水の轍~はこちら