筑波山のふもとに訪れる晩夏の景色、その2です。
よく晴れた青空の下、夏の最後の大輪が揺れています。
*その1~ひまわり~はこちら 。
笑顔咲ク。
花は、太陽の方向を向いて咲くと言いますが、
このひまわりたちは筑波山の方を向いているものも多く、
この土地をいつも見守っている山の神様に
笑顔と感謝を向けているかのようでした。
顔。
ひとつひとつの顔が、過ぎ去る夏を優しく見送るように、
「また来年」と言うように、風に揺れていました。
夏の終わりって、毎年どこか寂しくなりますよね。
何か一つのピークがついに終わりを迎えていくような感覚。
そんな切ない季節、とても好きです。
やがて次の季節の訪れを告げるように、
花の上に彼らがやってきます。
飛翔。
花と同じように揺られながら、
そっとその先端に足を掛けて空を見上げているトンボ。
これだけの花の海を渡ることができたら、
さぞ気持ちいいでしょうね。
この景色を丸ごと切り取ろうとする、自分のカメラを上から見下ろすように
その姿は堂々としていました。
花畑の端まで来てみると、石塀を隔てて向こう側にはお寺さんが。
塀に墨で書が書かれています。
風の詩(うた)。
とても風光明媚。
日本ならではの、郷愁をさそう夏の景色です。
さて、ここ明野のひまわり畑では、ひまわりだけでなく
こんな花も一緒に咲いているところを楽しめます。
まさに夏から秋へのバトンタッチ。
太陽のいろ。
「キバナコスモス」です。
その名の通り、黄色・オレンジ系の花をつけるコスモスで、
八重ひまわりの濃い黄色と同じく、元気印のカラーです。
ひまわりとコスモスを同じ場所で見ていると、
本当に季節と季節の狭間に立っているような、
その変わる瞬間に立ち会っているような、
不思議な思いがこみ上げます。
この日はまだまだ残暑厳しく、容赦なく照りつける日光が
肌をじりじりと焼いていました。
ですがそれも次第に、朝夕の涼しさに突然驚かされて、
気がつけば昼間も上着を羽織るようになって…
そんな風にして秋がやってきます。
その最初のいりぐち。
迎える。
夏の匂いがまだ濃く残るなかで、
秋がそこまでやって来ているのを、
彼らは出迎えているようにも見えました。
一年越しの再会に、「また今年も来たね」と笑顔で。
彼らの視線の先にある空は、心なしかすこし高く、
次に来る季節の、すこし褪せたような色合いを取り込んでいるように
見えました。
「おかえり」。
夏が終わってしまう前に、君に会えてよかった。
そう思えるこの八重ひまわりの畑。
最後の笑顔に少しさみしさを感じつつも、また来年、ね。
ここに来て、花を見て、秋を迎えることができました。