氷が吹きつけて、視界が真っ白な
山形蔵王・樹氷の旅、続きです。
*樹氷の旅、その1はこちら 。
アイス・モンスターと呼ばれる彼らは、
標高の高いところに身を潜めていました。
押し寄せる吹雪にも動じず、じっと構えて立つ怪獣たちは
面白く、感動的でもあり、自然の造形に驚くこと間違いなし。
そして、彼らとともに、蔵王地蔵山の頂上に行ったら
会わなければならない人物がもうひとり。
吹雪でも笑顔。
蔵王地蔵尊です。
本当は坐禅を組んだ姿で、なんと…体長は2.34メートルあるんです。
え?肩口までしか出ていないということは…
雪が2メートル近く積もっていることになりますね。
自分の身長をゆうに超える雪がここに…雪山恐るべし。
雪の粒が吹きっさらしのお顔に吹きつけて凍っていますが
それでもお地蔵様の慈愛に満ちた笑顔。
この厳しい天候の中で、ひとつのおひさまのように温かです。
さて、一通り樹氷を眺めて山頂駅をあとにし、
ロープウェイの中継地点である樹氷高原駅まで戻ります。
山の中腹にあるこの駅では、葉の落ちた樹木に
雪が細く長くかぶって、枝全体が雪の結晶のように見えます。
雪かぶり。
写真だと分かりづらいですね;
迫力のある樹氷とはまた違い、こちらは繊細な雰囲気で
冬の空に溶け込む枝の細さがとても心地いい感じです。
さらにロープウェイで山を下ります。
ここからは「蔵王ロープウェイの車窓から」ということで。
雪の花。
山の中腹あたりは広葉樹林が広がっているようで、
細い枝が幾重にも重なると、
ふわっと花が開いたように見えます。
一面の白と青、色のない世界に咲く花。
砂糖菓子のように。
もう少し下って山の裾野の方は、再び針葉樹林。
クリスマスツリーのように円錐形の松の木の上から
粉砂糖が優しく降りかかって、
まるでケーキの上の砂糖菓子みたいです。
なぜか、どこか暖かい感じのする景色。
車窓の風景を楽しんでいると、あっという間に麓へ帰還。
ロープウェイの係員さんはおススメしなかったけど、
樹氷をはじめ、冬山の、冬山でしか見られない自然の姿を
見ることができて、やはり行ってよかったなと思いました。
そして、無事に帰れたのはきっとお地蔵様のお陰ですね。
ありがたや。
蔵王温泉街に帰ってきて、昼食を取りました。
とにかくあったかいモノを…と思ってほっつき歩いていたら
少し外れたところに、お餅屋さんがありました。
昼餉と湯気。
うどんでも入っていそうな大きな椀ですが、
だしの利いたつゆにきのこや山菜などのたくさんの刻み野菜、
その下には食べやすい大きさに切られた白いお餅が。
一口飲んで、冷たい体内を一気に温めてくれました。
思わずホーッと長い息が漏れました。
引き戸の外では、屋根の上でこのお店のお父さんらしき方が
雪おろしをされていました。
お母さんがその様子を外で見守り、時折何か声をかけます。
まわりに積もった雪を伝って屋根の上に登れてしまうというのも
凄いし、そこからさらに積もった雪をざくざくと屋根の下に放ってゆく、
その大変さも、外から見た限りですが少し実感できた気がします。
雪と生きていくことの大変さ。
民家の軒下はこんな感じ。
成長。
つらら!
都会ではめったに見られないので、珍しいんです。。
しかも、こんなに長く成長したのを見るのは、初めてでした。
つららと霜柱は、しんとする寒さの中で、胸をわくわくとさせる
素敵な冬の魔法です。
最後、山形駅行きのバスに乗ろうと引き返したところを、
赤い実がお見送りしてくれました。
雪化粧。
この2日間で、ずっと雪景色に視界が覆われていたので
あ、鮮やかな色が差している…とすごく心が動きました。
雪の中にある赤はとても神秘的で綺麗ですね。
寒いところには冬に行くのが一番いい。
この2日間で、都会にいるときの数年分の雪を見た気がします。
それくらい、いつもと違う世界。違う景色。違う暮らし。
それを感じられる、この極寒の中でしか味わえない感覚。
そして、この冬の白と青も、自分は好きだなぁと思いました。
あと、雪の上の歩き方のコツが随分身についたので
今冬は転ばなくて済みそうだ、と思います(笑)