『出口のない海』で泣いた! | まとまりのないブログ

『出口のない海』で泣いた!

この時期は、どうも戦争モノの物語が増える時期ではありますが、久々に横山英夫さんの『出口のない海 』を読んで涙しました。小説読みながら涙したのは浅田次郎先生の『天国までの百マイル 』以来2度目、ついでに鳥肌立てて(緊張とストレスのために)胸が気持ち悪くなるような思いをしたのは植村直己さんの『青春を山に賭けて 』以来2度目。ホント活字だけで、その両方を味わいました。


この戦後60年の日本の平和と繁栄があるのは、200万の英霊たち一人ひとりのお陰だとホントに心から思わされました。当然、小説ですから、当時の記録を基に、現代人の考え方を加味して話が作られているわけでありますが、当時の若者が社会のイデオロギーによって突きつけられた「死」について100%納得していたハズはないですよね。


この物語の主人公は大学の野球部に所属する大学生ですが、彼だけでなく現実にいらっしゃった多くの方々は、戦局が悪化するつい数年前、数ヶ月前までは恋もして、勉強もして、部活もして、将来に向けた夢や希望を持っていた、そういう若者たちであったハズなんですよね。それがいくら国の為、家族の為といっても頑張ってきたことすべてを投げ出して無にしてしまう「死」を受け入れていたとは思えません。


また、この『出口のない海』の主人公は、特攻魚雷「回天」へ乗艦するレールに乗らされます。普通、戦争に参加するとなれば戦死する危険性がありますが、この特攻作戦では、必ず戦死するという絶対的な差があります。


たとえ致死率1%といっても現実には相当怖い思いをするのが人間ですが、それが100%。希望ゼロ。こういう状況に置かれた多くの先輩たちに日本人として感謝するのは当然です。今の日本では戦争の話をすること自体に、なんとなく敬遠しがちな雰囲気がありますが、たまにはこうやって思い出して感謝の気持ちを新たにすることは必要なことかもしれませんね。


ちなみにこの話、映画化 されます。私も再来週の試写会で観る予定ですがまた恥ずかしいくらい涙しそうな気がしてます。




横山 秀夫
出口のない海