劉震雲が書いた同名の長編小説を本人自らが映画用に改編したもの。

 

主人公の範氷氷は騙されて偽装離婚した元夫との関係をはっきりさせようとするのですが、元夫から「お前は『金瓶梅』に出てくる潘金蓮(男女間の肉欲のために人を陥し入れる賊悪人)だ」と言われ、陳情のため政府部門を駆け回ります。

 

しかし、彼女の本当の思いはもっと深い所にありました。

 

この映画は男女関係の問題以外に、政府組織の官僚主義の構造を描いています。

 

なんだか王蒙の書いた《组织部来了个年青人》を読んでいるようなかったるい感じで、半分ストレスが残りました。

 

大悪人がいない代わりに、融通の利かない、自分の利益しか考えない木端役人ばかりで、領導(上司)の指示に都度あたふたする様子がコミカルに描かれています。

 

微妙な問題なので、冯小刚导演もハッキリとは表現しなかったのでしょうが、いずれにしても中国は官僚主義の根が深いことが良く解るような作りになっています。

 

現代中国の問題点を描いているという意味では、(台湾の)金馬賞を受賞したのも頷けます。

 

今回は汚れ役を引き受け、演技力のみで勝負した範氷氷に一票。

 

これで《归来》の巩俐、《亲爱的》の赵薇、そして《我不是潘金莲》の范冰冰と役者が揃いました。

 

キャピキャピ・ギャルでなく、熟女になった彼女たちの今後の活躍に期待しています。