5月14日。


ぶーちがお空に走っていった。


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みんにゃさんの朝のお世話を頑張って急ぎ目に終わらせて、ゆっくり出来る時間を作り、ぶーちの隣でブログを書いて、落ち着いているようだったから腫れまくってる目と顔を洗いたくって階下に降りて顔を洗い、一服して気持ちを落ち着けながら少しTwitterを覗いたりして、二階のぶーちのところへ戻ったら、部屋を出る前と同じように落ち着いていて。


夜のお世話までもうちょっと側にいられるよ、と声をかけ、そおっとゆっくりぶーちの身体を抱き上げたら、ん?とあたしの方を見た。


どした?と声をかけながら膝に乗せて撫でていたら、身体をゆったり預けてくれて、そのままゆっくり撫でてたら、また頭を少し持ち上げてあたしの方を見た。


なんだよー。と頭を撫でようとしたら、ふいに大きく息を吸い込んで、そのまま頭がカクンと落ちた。


まるでスローモーションみたいに、その後は腕が落ちて、身体の力が抜けていった。


頭では分かったけれど、心が理解しようとせずに、嘘だ…とだけ呟いてみたけど、流れる涙が現実なんだと教えてくれた。


そんな突然置いていかないでよ。


ってか、ぶーちも気付いてないかもね…。


なんて言葉を口に出したら、一気に哀しみに襲われて、嫌だってば!!!!と叫びながらぶーちの身体を摩ってた。


起きてよぅ…といくら言っても、もうぶーちはここに居なくって、居ないのを認めることが苦しくて苦しくて切なくて。


ただひたすら泣き続けてはびっくりしているみんにゃさんたちにごめんと謝り続けてた。



前日の夜、ぶーちの横で過ごしている時、補液や給餌をどうしようかと悩んでて。


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意識があるようなないようなぼんやりとしているぶーちに何度もどうしよっか…と声をかけ、やろうとしては手を止めて、ずっと躊躇いながら過ごしてた。


苦しいのならやりたくないし、やれば楽になるのならやってあげたいし。


毎回誰かを見送る度に、どちらを選んでも必ず後悔するけれど、いつもなかなか決められず、最後の最後まで悩んでしまう。


だけどぶーちは補液が大好きだったから、補液だけはしようと決めて、痩せてしまった身体に針を刺し。


補液が身体に吸い込まれると、ちょっと顔がホッとしてるように見えた。


身体を抱き上げ給餌用のシリンジを口の横につけたら、嫌だと顔を振ったから、分かったよーと給餌をするのはもう止めて。


あとはずうっと手を握ってた。

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ぎゅっと握るときゅうっと握り返してくれるぶーちと、ずうっと手を繋ぎながら朝を迎え、長い夜が終わってくれたことにホッとしてたのに。


もう一晩、ずうっと一緒にいるつもりしか無かったのに。

…違うな。

もう一晩なんかじゃなく、いくつもの夜を越えたかったのに。


だけどぶーちが苦しまずにお空へ行ったのなら、かーちゃんは手を離すしか無いもんね。


ホントに眠ってるみたいだった。


少し前に意識不明になった時、すごく頑張って覚悟をしていたつもりでいたのにね。


結局しがみつきたいんだな…。


ホントに駄目なかーちゃんだね。


でもね、ぶーち。


知ってた?

かーちゃん、ぶーちのこと、だぁい好きだったんだよ。


だってぶーちはかーちゃんのことをだぁい好きで居てくれたんだもん。


大切な、大切な、あたしの愛猫さん。


目の前から身体は姿は消えても、ずうっと、ずうっと、一緒に居てね。


いつかまた逢える日まで、ずうっと、ずうっと、大好きだから。


ずうっと、ずうっと、忘れないから。




ぶーちは、2012年の1月に大熊町で保護した猫だった。

まだあたしが団体で活動していた頃で、その日はチェックしに行く捕獲器ほぼ全てに猫さんが入ってて、途中もう車に載せる所が無い!って叫んでしまう程で。


だけどあたしには連れ出せる子とリリースする子を選ぶことなんて出来なかったから、文字通り髪を振り乱しながら必死に車に場所を作り、全ての猫さんを連れ出して。


ぶーちは大熊町で捜索依頼が出てるおうちで捕獲器に入ってて、捕獲器の中でパニックになって、出ようと必死に捕獲器の中で踠いてた。


暴れすぎて鼻血が出てしまう程に捕獲器に体当たりしてたから、確かそれで名前がぶーちってなっちゃったんだっけ…。


保護した時から片眼が突出してて、パニックになりやすいから、ケージに手を近づけるだけでもケージに体当たりしちゃうぶーちを、スタッフ皆でどうしようかと頭を悩ませてたっけな…。


同じ頃に保護した子たちが人馴れして行く中で、ぶーちだけは変わらず人馴れなんかは全然出来ずに、トイレも使えなかったから、ぶーちのケージはペットシーツを敷き詰めて。


お口も酷い状態だったけど、最初の頃は治療もほとんど出来なくて、いつも涎を垂らしてた。


レスキューに来る度にケージの前に座ってひたすら名前を呼び続けてくれるヒトや、毎日それでもケアをしようとするヒトたちと、なんとか少しでもぶーちが過ごしやすいようにしたくて頑張って。


ようやく身体を触ることが出来るようになったのは、保護してから半年近く経った頃だった。


ゆっくり身体を持ち上げようとしても、奇声をあげてパニックになってしまうぶーち。

身体に染み付いてしまった匂いを取りたくて、何度もチャレンジしては抱き上げられず、それでも粘って何度も何度も静かに身体を触り、少しずつ、本当に少しずつ距離が縮まっていった。


やっと抱っこできるようになったのは、夏が過ぎたくらいだったかな…。


その頃からようやく少しずつケアが出来るようになり、お口の薬や眼薬をしたり、補液も出来るようになって行き、秋に団体を辞めた時にうちの子として引き取らせて貰った。


その後あたしは会津の実家に戻り、福猫舎を始めるまでの半年間は個人でレスキューをしてたから、うちの子と保護っこで毎日てんやわんやしてたなぁ…。


ある日ぶーちの角膜が穿孔して、大慌てで病院に行って手術をしてもらったり、お口の中もエライことになっていたから、犬歯も含めた全抜歯をしたりする中で、ケージからなかなか出てくれなかったぶーちが、ようやくお部屋のトイレを使ってくれたことが嬉しくて。



たったそれだけのことだけど、ぶーちにとってはものすごい変化で進化だったから。


トイレを使えた。

爪とぎをした。

ご飯をみんなと同じお皿から食べられた。

ご飯をちょーだいとあたしを見つめてくれた。

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そんなひとつひとつのことが、全て嬉しい出来事だった。



保護した頃から脳に何かがあるのかも…と言われていたけど、あたしが初めて一緒に暮らした銀は、脳腫瘍があると分かったけれど、脳幹のど真ん中だったから、検査に行った東大病院でも何ひとつ手立ては見つからなかった。


だからぶーちにもあまり脳の検査をする気になれず、それよりもただぶーちがのんびり暮らしていけたらいいな、と思っていたから、今のあたしに大きな後悔の気持ちは無い。


ようやくケージから出てくるようになったと思ったら、どんどん顔が変わっていって、抱き上げればゴロゴロ言って、ご機嫌に頭を擦り付け、名前を呼べば尻尾をピーンと立ててプルプルさせながら、走って駆け寄ってきてくれた。


先にお空へ行ってしまったやきそばのことが大好きで、いつもやきそばを枕にしながら、お腹を出して寝るようになったぶーちを見るのがなにより嬉しかった。

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あー…こんな写真、探してるだけで泣いちゃうのに、なにやってんだろw。



何度も調子を崩しては復活するぶーち。


おやつが好きで、大好きで、おやつタイムには誰よりも早く扉の前で待っていたっけな。


調子が戻ると好みが変わっていたりして、お気に入りのおやつを探すのにどんだけ苦労させられたことだろうw。


片眼は見えていなかっただろうけど、福猫舎を始めて保護っこたちと一緒に暮らすようになってからも、他の子たちと喧嘩することはなく、やきそばが居なくなってからは、誰かしらに必ずくっついて、いっつも誰かを枕にして寝てたっけ。


うちの子として引き取った子たちのうち、やきそばもギンももう居ない。

残るは獅子丸だけになっちゃった…。


保護っこの中では特に福丸くんが大好きだったから、行くとこ行くとこくっついて行って、みんなで団子で寝てたっけ。

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もう、想い出になり始めてるのが切ないけれど、それでもぶーちがこんなに寛いで穏やかに過ごしてくれていたことが、本当に嬉しくてたまらないや…。

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ねぇ、ぶーち。



きみを保護できたこと

きみを引き取れたこと

きみのかーちゃんで在れたこと

きみがかーちゃんを好きで居てくれたこと


全てに心の底から感謝しよう。



まるで眠るように旅立った大好きなぶーち。



さぶろーとやきそばとギンに宜しく伝えてね。



きみは本当に無垢という言葉がぴったりだったから、お見送り花はピュアなイメージのお花を選んだよ。


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いくら書いてもいくら思い出しても足りないくらいの、溢れるほどの愛をありがとう。


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かーちゃんもぶーちへの溢れるほどの愛と共に、もうちょっとここで頑張るからさ、みんにゃさんと一緒にお空の上からへなちょこかーちゃんを見守っててね。



いつか、また逢える日まで。