2009年度、資本金10億円以上の金融・保険業と郵政3社を除く大企業についてみると、こうなるそうです。
世界経済危機の影響で前年度に比べて売り上げを減らす中でも、内部留保を4.7%増の10兆9000億円増になったというのです。
これは、年度末時点で243兆9000億円溜め込んだことになるそうです。
一方で、日本の奨学金は貸与方式が大半で、しかも、そのほとんどが有利子といいます。
その結果、返すに返せない卒業生が雪ダルマ式に増えている、危機的状況になっているというのです。
この内部留保に回す資金の一部をまわしてもらえたら、奨学金は抜本的に改善できる。
2009年度の滞納額は、約33万6000人分の797億円と要返還額の約2割を占めるそうです。
独立行政法人日本学生支援機構が返還しない恐れがあるとみている3か月以上の滞納者も約21万1000人、債務総額は2629億円に上る。
5年間で奨学金を返すに返せない卒業生は2万8000人、滞納額は842億円増加したのですね。
この増加分を作った原因は、有利子奨学金です。
そして払えない原因を作ったのが、非正規雇用の増加です。
言い換えれば、貧乏人を奨学金滞納者に追いやって、内部留保を膨らませた構図。
先進国では、小さい政府をいっているアメリカでさえ給付方式だといいます。
あるいは、応能返済方式をとっている国も多いのです。
成功者となった卒業生が、困難に直面している卒業生の分も負担するというわけです。
そして困難を脱することができれば、今度は自分のように困難に直面した卒業生を助ける。
これって、かつて日本でよく聞いた「出世払い」に似ている。
この考え方を、企業の税負担にもある程度生かせないでしょうか。
地域や日本を支える力になるベンチャーには、出世払いの考えで税を軽くする。
成功した大企業には、4割くらい税負担してもらうことを原則にする。
そのうえで、奨学金など、国や地域を支える寄付に応じて減税する。
地域特産品を作るとか、世界に通用するアスリートや芸術家の育成に寄付をするなど。
難病対策に寄付するとか。
営利を目的とする企業である以上、投資と考えて寄付をするだろうけど、それで良い訳です。
寄付によって、とてつもない立派な施設を持った学校もできるかもしれない。
経団連が全面協力して、すごい学校もすでにできてます。
そういう学校が増える可能性がある。
極端な話、寄付が多くなって税金無しの企業が出ても良い。
ただ、寄付を受けやすい取り組みと、寄付が集まりにくい取り組みが、出てくる可能性もある。
当然、寄付を受ける側も、説得力のある説明が求められます。
寄付を効率よく生かす、あるいは、長期的にしっかりした展望をたてる、地域や国への波及効果や貢献の広さや大きさ、これらを訴えきれないと寄付は集まらない。
世界には、儲けさせてくれた世界に利益還元しようと、気前良く寄付する富豪が結構居ます。
日本には、富豪といえる人も少ない代わりに気前良く寄付する企業も、あまり多くない。
だったら、これくらい大胆な発想の転換も必要かも。